三省堂 辞書ウェブ編集部による ことばの壺
世界文学大図鑑
- 定価
- 4,620円
(本体 4,200円+税10%) - 判型
- B5変型判
- カラー
- オールカラー
- ページ数
- 352ページ
- ISBN
- 978-4-385-16233-1
- 寸法
- 23.5×19.5cm
-
改訂履歴
- 2017年5月10日
- 発行
文学を愛するすべての人に、次の一冊をさがしているあなたに贈る
オールカラーの図解入り大図鑑
- 古今東西の「世界文学」の主な潮流を、オールカラーの図版満載でわかりやすく解説。
- 本編で扱う100編あまりに加え、「もっと知りたい読者のために」でさらに200編を超える作品を紹介。
世界には私たちがまだ読んだことのない、面白そうな本がたくさんある
――沼野充義「日本語版監修にあたって」より
何か惹かれるものがあったら、この本を読みかけにしてもまったくかまわないから、ぜひその作品をすぐに入手して読みはじめてもらいたい。そして、その作品のおもしろさをだれかに伝えてもらいたい
――越前敏弥「訳者あとがき」より
特長
さらに詳しい内容をご紹介
『世界文学大図鑑』を推薦します。
柴田元幸(翻訳家・米文学者)
約350ページに、古今東西の文学をめぐる情報を収める。この試みを快挙とするも暴挙とするも読み手の想像力次第。むろん「情報源」でもあるけれど、それ以上にこの本は、無数の物語を夢見るための格好のツールなのだ。
倉本さおり(書評家)
「ことばのあとにことばがつづき、またことばがつづいて力となる」――マーガレット・アトウッドの言葉のとおり、この本は過去から未来へ、都市から辺境へ、そして「他者」から「私」へと文学がつらなっていく奇跡をていねいに解き明かしてくれる。
著者・監修者・訳者プロフィール
著者・編集顧問
ジェイムズ・キャントン
エセックス大学文学部講師。修士課程でワイルド・ライティング(文学と自然環境)を講義する。著書に『カイロからバグダードへ アラビアのイギリス人旅行者』(2011年、未訳)、『エセックスから外へ 文学の風景を再想起する』(2013年、未訳)などがあり、後者では風景と人間とのつながりを探り、自然界とその驚異に迫っている。最近は、有史以前の世界の跡をたどるイギリス辺境一帯の旅にまつわる物語を執筆している。日本語版監修
沼野充義〔ぬまの・みつよし〕
東京大学大学院人文社会系研究科・文学部教授。1954年東京生まれ、1984年ハーバード大学修士、1985年東京大学大学院博士課程満期退学。ワルシャワ大学、モスクワ大学で客員講師、ハーバード大学世界文学研究所講師をつとめる。ロシア・ポーランド文学、現代文芸論専攻。主な著書『亡命文学論』(作品社)、『ユートピア文学論』(作品社)、『チェーホフ 七分の絶望と三分の希望』(講談社)など。編書『ポケットマスターピース10 ドストエフスキー』(集英社)、『8歳から80歳までの世界文学入門 対話で学ぶ〈世界文学〉連続講義4』(光文社)など。訳者
越前敏弥〔えちぜん・としや〕
文芸翻訳者。1961年生まれ。東京大学文学部国文科卒。訳書『インフェルノ』『ダ・ヴィンチ・コード』『Xの悲劇』(以上、KADOKAWA)、『解錠師』(以上、早川書房)、『チューダー王朝弁護士シャードレイク』(集英社)、『夜の真義を』(文藝春秋)など多数。著書『翻訳百景』(KADOKAWA)『越前敏弥の日本人なら必ず誤訳する英文』(ディスカヴァー)など。目次
はじめに
英雄と伝説 紀元前3000年~後1300年
神々だけが永遠に日のあたる場所にとどまる
『ギルガメシュ叙事詩』
旧徳に従えば、危うくともやがては吉となる
『易経』周の文王が書いたとされる
おお、クリシュナ、わたしが犯そうとしているこの罪はなんだ?
『マハーバーラタ』ヴィヤーサの作とされる
歌え、女神よ、アキレウスの怒りを
『イリアス』ホメロスの作とされる
真実になんの救いもないときに、それを知るというのは、なんと恐ろしいことか!
『オイディプス王』ソフォクレス
地獄の門は昼も夜も開いている。 そこへくだる道は平坦で、たやすい
『アエネーイス』ウェルギリウス
運命はなるようにしかならない
『ベオウルフ』
そこで、シェヘラザードは語りはじめた……
『千夜一夜物語』
人生がただの夢にすぎぬのなら、 なぜあくせく働くことがあろうか。
『全唐詩』
闇の現(うつつ)はなほ劣りけり
『源氏物語』紫式部
主君のために、人はひたすら苦難に耐えなければならない
『ローランの歌』
タンダラダイ、小夜啼鳥が愛らしく歌う
「菩提樹の下で」ヴァルター・フォン・デア・フォーゲルヴァイデ
愛の命令に従おうとしない者は、大きな過ちを犯す
『ランスロまたは荷車の騎士』クレティアン・ド・トロワ
他人の傷を自分への警告とせよ
『ニャールのサガ』
もっと知りたい読者のために
ルネサンスから啓蒙主義へ 1300年~1800年
気がつくとわたしは暗い森のなかにいた
『神曲』
ダンテ・アリギエーリ われら3人、義兄弟の契りを結び、力を合わせて心をひとつにすることを誓う
『三国志演義』羅貫中
ページをめくって別の話を選んでください
『カンタベリー物語』ジェフリー・チョーサー
笑いは人間の本性だ。楽しく生きよ
『ガルガンチュアとパンタグリュエル』フランソワ・ラブレー
この花と同じように、忍び寄る老いがあなたの美しさを曇らせる
『恋愛詩集』ピエール・ド・ロンサール
快楽を愛する者は快楽ゆえに堕ちなくてはならない
『フォースタス博士』クリストファー・マーロウ
人はみな、おのれの所業の子である
『ドン・キホーテ』ミゲル・デ・セルバンテス
人は生涯にいくつもの役を演じる
〈ファースト・フォリオ〉ウィリアム・シェイクスピア
だれも彼も尊敬するのは、だれも尊敬しないのと同じだ
『人間ぎらい』モリエール
けれど背中のすぐ後ろにいつも聞こえる、翼をひろげた戦車を駆って時が迫りくるのが
『雑詩篇』アンドルー・マーヴェル
蛤のふたみに別れ行く秋ぞ
『おくのほそ道』松尾芭蕉
死ぬるを高の死出の山、三途の川は堰く人も、堰かるる人もあるまいと
『曾根崎心中』近松門左衛門
わたしは1632年、ヨーク市の良家に生まれた
『ロビンソン・クルーソー』ダニエル・デフォー
もしこれがこの世にありうる最善の世界ならば、ほかの世界はどういうものなのか
『カンディード』ヴォルテール
勇気なら地獄を裸足で歩きとおせるくらい持ち合わせている
『群盗』フリードリヒ・フォン・シラー
恋愛では、感じてもいないことを文字で表すほどむずかしいことはありません
『危険な関係』 ピエール・コデルロス・ド・ラクロ
もっと知りたい読者のために
ロマン主義と小説の台頭 1800年~1855年
詩はあらゆる知識の息吹きであり、より高尚な精気である
『抒情歌謡集』ウィリアム・ワーズワースとサミュエル・テイラー・コールリッジ
現実の人生ほど不思議で奇怪なものはない
『夜曲集』E・T・A・ホフマン
人間は努力しているかぎり迷うものだ
『ファウスト』ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
むかしむかし……
『子供と家庭の童話』グリム兄弟
隣人を楽しませてやって、こんどはこちらが笑ってやるのが生き甲斐ってものだろう?
『高慢と偏見』ジェイン・オースティン
この密かな労苦がいかに恐ろしいものか、いったいだれにわかってもらえるでしょうか
『フランケンシュタイン』メアリー・シェリー
みんなはひとりのために、ひとりはみんなのために
『三銃士』アレクサンドル・デュマ
けれども、ぼくは幸せには向いていません。そうしたものに、ぼくの魂は縁がないのです
『エヴゲーニイ・オネーギン』アレクサンドル・プーシキン
百万の宇宙を前に、冷静で動じぬ魂であれ
『草の葉』ウォルト・ホイットマン
人間がどのようにして奴隷にされたかをこれまで見てきた。奴隷をどのようにして人間にしたかをこれから見せよう
『数奇なる奴隷の半生――フレデリック・ダグラス自伝』フレデリック・ダグラス
わたしは鳥ではありません。どんな網にもかかりません
『ジェイン・エア』シャーロット・ブロンテ
自分の命なしでは生きていけない! 魂なしでは生きられない!
『嵐が丘』エミリー・ブロンテ
地球上の動物のどんな愚行だって、人間どもの狂乱沙汰には遠く及ばない
『白鯨』ハーマン・メルヴィル
すべて別れというものは最後の大きな別れを予感させる
『荒涼館』チャールズ・ディケンズ
もっと知りたい読者のために
現実の生活を描く 1855年~1900年
倦怠が物言わぬ蜘蛛のように、心の四隅の暗がりに巣を張っている
『ボヴァリー夫人』ギュスターヴ・フローベール
わたしもこの大地の子であり、この風景のなかで育てられたのです
『グアラニー族』ジョゼ・デ・アレンカール
「詩人」は雲間の王者に似ている
『悪の華』シャルル・ボードレール
聞いてもらえないからといって、口をつぐむ理由とはならない
『レ・ミゼラブル』ヴィクトル・ユゴー
きみょーよ、とってもきみょーよ!
『不思議の国のアリス』ルイス・キャロル
大いなる意識と深い心には、苦痛と苦悩が付き物だ
『罪と罰』フョードル・ドストエフスキー
人類はおろか、一国民の生活でさえ、そのまま記述することは不可能に思える
『戦争と平和』レフ・トルストイ
ひとつの問題をさまざまな立場から見ることができないのは、了見がせまいからだ
『ミドルマーチ』ジョージ・エリオット
人間の法に逆らえても、自然の法には抗えません
『海底二万里』ジュール・ヴェルヌ
スウェーデンでぼくらがやっているのは、王の式典を祝うことだけだ
『赤い部屋』アウグスト・ストリンドベリ
彼女は外国語で書かれている
『ある婦人の肖像』ヘンリー・ジェイムズ
人間ってやつは、ほかの人間にずいぶんむごたらしいことができるもんだ
『ハックルベリー・フィンの冒険』マーク・トウェイン
苦しみ、戦うために、もう一度炭坑へおりていきたくてたまらなかった
『ジェルミナール』エミール・ゾラ
いまや彼女には夕日が醜く見え、空にある大きな炎症の傷のようだった
『ダーバヴィル家のテス』トマス・ハーディ
誘惑を捨て去る方法はただひとつ、誘惑に屈することだけだ
『ドリアン・グレイの肖像』オスカー・ワイルド
古かろうと新しかろうと、目を向けてはいけないものがある
『ドラキュラ』ブラム・ストーカー
地球上の暗黒の地のひとつだった
『闇の奥』ジョゼフ・コンラッド
もっと知りたい読者のために
伝統を破壊する 1900年~1945年
世の中は一目瞭然のことばかりなのに、どういうわけか、だれもそれをしっかり見ようとしないんだよ
『バスカヴィル家の犬』アーサー・コナン・ドイル
吾輩は猫である。名前はまだ無い。どこで生まれたかとんと見当がつかぬ
『吾輩は猫である』夏目漱石
グレーゴル・ザムザは、ベッドのなかで自分がおぞましい虫に変わっているのに気づいた
『変身』フランツ・カフカ
祖国のために死ぬるは、甘美にして名誉なり
『詩集』ウィルフレッド・オーエン
四月は最も残酷な月 死に絶えた大地からリラの花が顔を出す
『荒地』T・S・エリオット
空にひろがる星の樹から濡れた夜の果実がぶらさがる
『ユリシーズ』ジェイムズ・ジョイス
若いころは、わたしにもたくさんの夢があった
『吶喊』魯迅
愛は愛だけを与え、愛だけを受けとる
『預言者』ハリール・ジブラーン
批評は進歩と啓蒙の源なのです
『魔の山』トーマス・マン
ささやきとシャンペンと星に囲まれ、蛾のように飛びかった
『グレート・ギャツビー』F・スコット・フィッツジェラルド
古い世界は滅ばなくてはならない。目覚めよ、暁の風よ!
『ベルリン・アレクサンダー広場』アルフレート・デーブリーン
遠くに見える船は、男たちすべての望みを載せている
『彼らの目は神を見ていた』ゾラ・ニール・ハーストン
死体は傷ついた心よりも重い
『大いなる眠り』レイモンド・チャンドラー
涙の国というのは、ほんとうに不思議なところなんだ
『星の王子さま』アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ
もっと知りたい読者のために
戦後の文学 1945年~1970年
ビッグ・ブラザーがあなたを見ている
『一九八四年』ジョージ・オーウェル
もう十七歳なんだけど、ときどき十三歳がやるみたいなことをしてしまう
『キャッチャー・イン・ザ・ライ』J・D・サリンジャー
死はドイツから来た名手
『罌粟と記憶』パウル・ツェラン
ぼくの姿が見えないのは、単に人がぼくを見ようとしないだけのことだから、その点をわかってくれ
『見えない人間』ラルフ・エリスン
ロリータ、わが人生の光、わが腰部の炎。わが罪、わが魂
『ロリータ』ウラジーミル・ナボコフ
なんにも起こらない、だあれも来ない、だあれも行かない。まったくたまらない
『ゴドーを待ちながら』サミュエル・ベケット
一方の手の指で永遠に触れ、一方の手の指で人生に触れることは不可能である
『金閣寺』三島由紀夫
やつこそ、ビートだ――ビーティフィクの根っこであり、魂だ
『オン・ザ・ロード』ジャック・ケルアック
ある人々のあいだでよいことが、別の人々には忌まわしきことであったりする
『崩れゆく絆』チヌア・アチェベ
壁紙ですら人間よりもよい記憶力の持ち主である
『ブリキの太鼓』ギュンター・グラス
わたしは人間は一種類しかないと思う。人間ってのはね
『アラバマ物語』ハーパー・リー
すべてを失っても、また最初からはじめなければならないと宣言する勇気さえあるなら、何物も失われはしない。
『石蹴り遊び』フリオ・コルタサル
ヨッサリアンは永久に生きようと、あるいはせめて生きる努力の過程において死のうと決心していた
『キャッチ=22』ジョーゼフ・ヘラー
ぼくが詩を作るのは自分を見るため、闇をこだまさせるため
『ある自然児の死』シェイマス・ヒーニー
おれたち、どこか狂ったところがあるにちがいない。あんなことをやるなんて
『冷血』トルーマン・カポーティ
瞬間ごとに終わりを迎えながらも、けっして終わるということがなかった
『百年の孤独』ガブリエル・ガルシア=マルケス
もっと知りたい読者のために
現代文学 1970年~現在
最後の瞬間の積み重なりが私たちの歴史なのよ
『重力の虹』トマス・ピンチョン
あなたはイタロ・カルヴィーノの新しい小説を読みはじめようとしている
『冬の夜ひとりの旅人が』イタロ・カルヴィーノ
たったひとりの人生を理解するだけでも、世界を呑みこまなければならない
『真夜中の子供たち』サルマン・ラシュディ
自分の身を自由にすることと、自由になった身は自分のものだと主張することは、まったく別のことだった
『ビラヴド』トニ・モリスン
天と地は大きく乱れていた
『赤い高粱』莫言
こんな話は口では伝えられない。この手の話は感じることができるだけだ
『オスカーとルシンダ』ピーター・ケアリー
青々とした簡素さゆえに、この島を慈しめ
『オメロス』デレック・ウォルコット
私には殺しの気分が、狂いだす寸前にまで強かった
『アメリカン・サイコ』ブレット・イーストン・エリス
彼らは穏やかで神聖な川をくだっていった
『スータブル・ボーイ』ヴィクラム・セス
あれこそ、ギリシャ人の考えだ。深淵なる考えではないか。美は恐怖である
『シークレット・ヒストリー』ドナ・タート
私たちがこうして目にしている光景というのは、世界のほんの一部にすぎないんだってね
『ねじまき鳥クロニクル』村上春樹
たぶん目の見えない人の世界の中でだけ、物事は真の姿になるでしょうね
『白の闇』ジョゼ・サラマーゴ
英語は南アフリカの現実を伝える媒体として適していない
『恥辱』J・M・クッツェー
すべては二度起こることになる、内側と外側で。そしてその二つは異なった歴史なのである
『ホワイト・ティース』ゼイディー・スミス
秘密を知られないようにするには、秘密などないふりをするのがいちばん
『昏き目の暗殺者』マーガレット・アトウッド
彼の家族が忘れたがっている何か不愉快なことがあるような気がしてならない
『コレクションズ』ジョナサン・フランゼン
すべてあのときの悪夢に起因する。われわれがともに作り出したあの惨劇に
『客人』黄皙暎
残念だけれど、わたしは生き方を学ぶのに一生かかるのよ
『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』ジョナサン・サフラン・フォア
もっと知りたい読者のために
用語解説
索引
日本語版監修にあたって
出典一覧・訳者あとがき
電子書籍版のご案内
発行:2019年12月20日発行
レイアウト:リフロー型
※価格・対応端末は、電子書籍を配信する各サイトでご確認ください
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