« 漢字の現在:漢字の密集地 - 「百学連環」を読む:政治学のエンサイクロペディア? »

Can I have a word with you?―『英語談話表現辞典』覚え書き(50)―

2011年 7月 7日 木曜日 筆者: 内田 聖二

今回は「ちょっとお話があるのですが」という表現について考えてみます。

一般に「(A〈人〉と)話をする」は‘to have a word (with A)’という言い方があります。我々日本人にはすぐには思い浮かばない表現かもしれませんが、よく聞きますので、関連する言い方を含め使えるようにしましょう。本辞典でも次のように記述されています。

1 A〈人〉と(一言二言)話がある:Can I have a word with you for a minute? ちょっとお話ししたいことがあるんですが/ I’d like to have a word with your boss, please. ちょっとあなたの上司の方とお話ししたいのですが.
2 A〈人〉に一言断りのことばを言う:Have a word with the boss and take a day off. 上司に一言言って休暇をとりなさい/ Have a word with the curator, or she will not allow you to park here. 館長に一言断りを入れてください, さもないとここに駐車できません.

以下では語義1の第1例のように、直接相手に話しかける言い方をみてみます。まず、この例のように疑問文を用いるときは can ではじめるのが一番よく使われます。改まった場面や目上の人などに話しかける場合は could,may,might などが用いられます。次は三省堂コーパスからの用例を改変したものです。それに対する応答表現にも注意してみてください。

(部長が)‘Could I have a word with you? In my office, if you don’t mind.’「ちょっと話があるのだが。よければ私の部屋で」/ ‘Your Highness, may I have a word?’ ‘Certainly.’「殿下、お話がございます」「もちろん」/ ‘Might I have a word with you, please?’ ‘What do you want?’「よろしければお話があるのですが」「なんだろう」

平叙文では、‘I’d like to’ではじめるのが一般的です。

‘I’d like to have a word with you alone.’「ふたりだけで話がしたいのですが」/ ‘Excuse me, sir. I’d like to have a word with you.’ ‘Oh? . . . Quickly please.’「失礼ですが、お話があるのですが」「話?急いでお願いできるかな」

‘I want to’ではじめると‘I’d like to’に比べ、ややぞんざいな言い方になります。

‘I want to have a word with you about this painting of yours.’「君のこの絵について話がしたい」

さらに、wanna を使うとよりくだけた言い方になります。

‘I wanna have a word with you during the week.’「今週中に君と話がしたい」

もちろん、当事者が複数の場合は‘I’が‘we’となります。

(両親が子どもに)‘We’d like to have a word with you about chocolate.’ ‘What?’「チョコレートのことで話があるのだけど」「何?」/ ‘Can we have a word, Del?’ ‘Yeah, ‘course you can.’「デル、ちょっと話があるのだけど」「もちろん、いいとも」

‘a word’の代わりに‘a few words’も用いられます。

‘Jacques, can I have a few words with you?’ジャック、2,3話があるのだけど」

なお、「話す」ということを表す動詞はたくさんあり、たとえば、‘Can I speak to you?’も可能ですが、‘Can I have a word with you?’に比べると頻度は少ないようです。

‘Excuse me. Can I speak to you outside for a minute?’ 「すみませんが、部屋の外で少しお話があるのですが」/ ‘May I speak to you for a moment in private?’「ちょっとふたりだけでお話しできますか」

【筆者プロフィール】

内田聖二(うちだ・せいじ)
奈良女子大学教授
専門は英語学、言語学(語用論)
主な業績:『英語基本動詞辞典』(1980年)研究社(小西友七編、分担執筆及び校閲)
『英語基本形容詞・副詞辞典』(1989年)研究社(小西友七編、分担執筆及び校閲)
『英語基礎語彙の文法』(1993年)英宝社(衣笠忠司、赤野一郎と共編著)
『関連性理論―伝達と認知―』(初版1993年、第2版1999年)研究社(共訳)
『小学館ランダムハウス英和大辞典』(第2版1994年)小学館(小西友七・安井稔・國廣哲弥・堀内克明編、分担執筆)
Relevance Theory: Applications and Implications, 1998, John Benjamins.(Robyn Carstonと共編著)
『英語基本名詞辞典』(2001年)研究社(小西友七編、分担執筆及び校閲)
『ユースプログレッシブ英和辞典』(2004年)小学館(八木克正編集主幹、編集委員)
『新英語学概論』(2006年)英宝社(八木克正編、共著)
『思考と発話』(2007年)研究社(共訳)
『子どもとことばの出会い』(2008年)研究社(監訳)

【編集部から】

語用論的な情報をふんだんに盛り込んだ、日本発の本格的な発信型会話・談話表現辞典、『英語談話表現辞典』について、編者の内田聖二先生にご紹介いただきます。
書籍購入者は、http://dce.dual-d.netにて本辞典の全データを収録したウェブ版辞典を無料でお使いいただけます。

2011年 7月 7日