どういう意味?
「交換可能な構成要素」のことです。
もう少し詳しく教えて
モジュール(module)とは「交換可能な構成要素」を表します。例えば自動車生産の分野では、空調用のモジュールやドアモジュールなど、「それ自身が多くの部品を含んでいる、ひとかたまりの部品群」のことをモジュールと呼んでいます。このようなモジュールは、一定の規格に基づいて交換可能な状態で作られているので、内部設計が異なるモジュールを交換した場合でも、全体として問題なく動作することになります。このようにモジュールの語形が用いられる場合、「規格化されている」「交換可能である」「独立性が高い」「何かの部分である」などの意味が含まれています。
どんな時に登場する言葉?
広い分野で登場する語です。例えば自動車生産の分野では「モジュール生産」(後述)が普及していますし、経営の分野でも「経営のモジュール化」(後述)が提案されています。さらにコンピューターの分野では、ソフトウエアやハードウエアの部品のことをモジュールと言いますし、一部の小中学校では授業時間の最小単位(10分~15分)のことをモジュールと呼んでいます(「モジュール制」で後述)。宇宙ステーションの構成要素(実験棟・居住棟)もモジュールです。以上のいずれの構成単位も「規格化されている」「交換可能である」「独立性が高い」「何かの部分である」点が共通しています。
どんな経緯でこの語を使うように?
ここまでわざと触れずに説明しましたが、モジュール(module)とは本来、寸法を表す言葉です。例えば建築の分野では「基準寸法」のことをモジュールと呼びますし、機械の分野では「歯車の歯の大きさを表す単位」のことをモジュールと呼びます。これらはいずれも「基準となる寸法」を表すことから、「その基準によって交換可能となった構成要素」のこともモジュールと呼ぶようになりました。例えば、電話線のコンセントとも言えるモジュラージャック(modular はモジュール式の意味)は、一定の寸法によって作られている差し込み口なので、どのメーカーが作ったプラグでも対応可能な状態になっているのです。
モジュールの使い方を実例で教えて!
モジュール生産
自動車生産の分野では、ドアモジュールなど「それ自身が多くの部品を含むような標準化された部品群」のことをモジュールと呼び、それらを組み合わせて自動車を生産する方法がよく用いられています。この生産方法のことを「モジュール生産」と呼んでいます。外部企業にモジュールの生産を委託して、コスト削減を図る場合もあります。このような手法は、生産工程が単純化される利点がありますが、導入時には生産行程や設計の抜本的な変革を強いられます。
経営のモジュール化
コンピューター産業が「モジュール化」によって大きな発展を遂げたことをきっかけに、広く経営の分野でも「モジュール化」の重要性が指摘されるようになりました。コンピューター産業におけるモジュール化とは、ソフトウエアやハードウエアの生産について、標準化された部品を利用する考え方のこと。例えば近年のパソコンは、メモリーやハードディスクなどの「標準化された部品」を組み立てて生産できる仕組みになっています。従って、各々の部品をどのメーカーが生産しても、全体としては問題なく動作するわけです。このような仕組みが存在することから、業界では「国際的で水平的な分業体制(産業構造のモジュール化)」が確立されることになりました。そこで経営に関するさまざまな分野(生産・業務プロセス・組織形態など)において、「モジュール化」の有用性が語られるようになった訳です。
モジュール制
一部の小中学校では、10分から15分程度の短い授業単位のことを「モジュール」と呼んでいます。このようなモジュールを組み合わせる事によって、授業内容に応じた柔軟な時間割を組むことが可能になります。例えば「算数の計算練習」や「漢字の書き取り」などの反復練習には少数のモジュールを充てて、「理科の実験」や「図画工作」などには多数のモジュールを充てるなどの運用が行われています。
言い換えたい場合は?
「交換可能な構成単位」「標準化(規格化)された要素」「独立性の高い部品」などの表現を試してみて下さい。「交換可能・標準化・独立性」などのニュアンスを特に必要としない場合は「構成単位」「要素」「部品」「部分」などの語を用いると表現がすっきりとします。
またモジュールの語が使用される分野ごとに、適切な表現を当てはめることも可能です。例えば生産の分野では「部品」などの言い換えが、教育の分野では「時間単位」などの言い換えが可能です。
雑学・うんちく・トリビアを教えて!
宇宙に浮かぶ実験棟 地上の約 400 km 上空に建設中の有人施設「国際宇宙ステーション」。現在、日本・アメリカ・カナダ・ヨーロッパ各国・ロシアが協力して建設にあたっており、2010 年には完成の予定になっています。このうち日本が建設を担当するのが、実験モジュール(実験棟)の「きぼう」。「船内実験室」と「船外実験プラットフォーム」というふたつの大きな実験スペースによって構成されています。