10分でわかるカタカナ語

第30回 アウトソース

2006年1月24日

どういう意味?

「業務を外部委託すること」です。

もう少し詳しく教えて

アウトソーシング(outsourcing)とは「業務を外部委託すること」です。例えばあるメーカーが、中心的業務である製造事業に集中するため、経理などの中間業務を外部委託する場合、この外部委託のことをアウトソーシングと呼びます。もともと情報システムの関連業務(開発・運用など)を外部委託する際に言われた語ですが、近年では開発・生産・営業・物流・人事・経理・購買などのあらゆる業務の外部委託について、アウトソーシングの語が用いられます。企業はこれを行うことによって、自社の中心的業務(メーカーにおける開発業務など)に経営資源を集中させることができ、全体として業務コストを削減することも可能になります。

なおアウトソーシングには、この他に「調達」の意味もあります。

どんな時に登場する言葉?

情報産業や、広く経営・ビジネスの分野で登場する語です。アウトソーシングする業務の内容によって「セキュリティーアウトソーシング」とか「物流アウトソーシング」などの用例が登場します。また、総務・経理などの中間業務について業務委託を行うことを、特に「ビジネスプロセスアウトソーシング」と呼ぶ場合もあります(後述)。

どんな経緯でこの語を使うように?

アウトソーシングの考え方は、当初はコンピューターシステムの分野で発達した経緯があります。例えば 1989 年には、アメリカのイーストマン・コダックが、社内情報システムの運用を IBM にアウトソーシングして、それに伴い自社のシステム部門そのものを IBM に売却したことが大きな話題となりました。その後、アウトソーシングは開発・生産・営業・物流・人事・経理などのあらゆる業務で実施されるようになっています。国内でアウトソーシングの語が用いられるようになったのは、およそ 1990 年代前半頃のことです。

アウトソーシングの使い方を実例で教えて!

アウトソーシング先

業務の外部委託先(受託企業)のことを「アウトソーシング先」と表現できます。「アウトソーシング先を探す」などの用例があります。

アウトソーサー/アウトソーシー

困った問題ですが、アウトソーシングの「受託企業」を表す言葉は、アウトソーサー(outsourcer)とアウトソーシー(outsourcee)のふたつに分かれているようです。一般には「アウトソーサー=受託企業」と認識されていることが多いようですが、言葉の成り立ちを考えると、「アウトソーサー=委託企業」「アウトソーシー=受託企業」と考えるべきとも思われます。これはライセンサー/ライセンシーや、フランチャイザー/フランチャイジーの関係と同様です。いずれにせよ、アウトソーサーの語が登場した場合、文脈による慎重な解釈が必要になります。

コソーシング(コーソーシング)

アウトソーシングのうち,委託企業と受託企業が共同で業務運営にあたる形態のことを「コソーシング」あるいは「コーソーシング(co-sourcing)」と呼ぶ事が出来ます。

オフショアアウトソーシング

アウトソーシングのうち,受託企業が海外に存在するような形態のことを「オフショアアウトソーシング(offshore outsourcing)」と呼ぶ事が出来ます。「オフショアリング(offshoreing)」と言う場合もあります。オフショア(offshore)は「外国の」を表す形容詞です。

ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)

人事・総務・経理などのビジネスプロセス(業務手順)について業務委託を行うことを、ビジネスプロセスアウトソーシング(business process outsourcing)と言います。多くの受託企業は、これらの業務を「情報通信業務」と「ビジネス業務」というふたつの側面からサポートすることになります。狭義のアウトソーシングが「情報通信業務のみのサポート」を意味する場合もあるので、これらを区別するために登場する語です。

アウトタスキング

「業務設計・管理責任などを自社で保持し、業務の実行部分だけを外部に委託する」ような形態を「アウトタスキング(out-tasking)」と呼ぶ場合があります。この語が登場する際「アウトソーシング」は、「業務設計・管理責任・業務実行のすべてを外部に委託する」形態をさす事になります。

言い換えたい場合は?

「外部委託」「業務外注」などの語を試してみてください。また、やや乱暴な方法ではありますが、単に「外注」の語を用いる方法もあります。なお調達の意味のアウトソーシングを言い換える場合は「外部調達」「調達」などの語を試してみてください。

雑学・うんちく・トリビアを教えて!

餅は餅屋 アウトソーシングの有用性を語る際に、よく「餅は餅屋」という諺(ことわざ)が引用されます。「その道の専門家に業務を依頼した方が、より安価で高度に業務を遂行することができる」ということを表しています。餅は餅屋が一番上手につくのです。

筆者プロフィール

三省堂編修所

編集部から

あなたはマスコミ報道や日常会話の中で、突然意味の分からないカタカナ語に出会い、困ってしまったことはありませんか?

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そこでこのコーナーでは、社会での使用頻度が高いわりに意味がよく知られていないカタカナ語を選び出し、それらの意味や使い方について「10分でわかる」ようまとめてみました。このコーナーを見れば、あなたもカタカナ語が怖くなくなります。