近年、全国各地でB級グルメが話題になっています。青森県黒石市でも、最近、「黒石やきそば」が市内の60店舗以上で提供され、またつゆをかけて食べる「つゆやきそば」も登場しています。街のあちこちにのぼりがはためき、店の案内マップも作られています。
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その黒石市の玄関口「黒石駅」は、弘前との間を約30分で結ぶ私鉄・弘南鉄道のターミナル駅ですが、その駅前に方言で書いた歓迎の案内板があり、説明文の横には小さく共通語訳も付けてあります【写真】。
よぐ来たねし、やきそばのまち黒石
えぎっとばでで右さわんつかあさいでけ
へば、「やきそばのまち案内所 じょんがらロード駅」だ
「じょんがらロード駅」さいげば、市内六十店舗以上の
やきそばの店っこしかへるし、市内の観光案内・宿っこの
紹介・お土産も売ってらはんで、なんぼでも来てけへ。
わがねことあったらなんでも聞いでけじゃ。へばこいへ。
またその下には、次のような「津軽弁」の特徴についての説明もあります(これは共通語のみで)。
津軽弁は早口な上に語尾が命令形にも取られます。
怒ってる様に聞こ(え)ますが、怒ってはいませんので
外国語と思って「ゆっくりもう一度お願いします」
と聞いて頂けないでしょうか。
シャイな津軽人、打ち解けたらもうおだてに乗る
良い人(もっけ)が多いです。
旅の思い出に一つ二つ津軽弁を覚えて頂ければと
思います。
※(え)は原文には欠落
駅に降り立つとすぐに、市内の主要ポイントを示した案内地図とこの案内板があって、地元のことばで温かく迎えられた気分を味わうことができます。
東北地方はこれまで一般に「方言コンプレックス」が強いと言われてきましたから、ひと昔前なら、いかに方言に特徴があると思っても、こういうアピールの仕方はちょっと考えにくかったろうと思われます。自分たちの「方言」に対する自信と誇りが表れ、時代による意識の変化が感じられる一例として、興味深い案内板です。
《参考》「黒石観光協会」について詳しくは、http://kuroishi.or.jp/などを参照。このホームページの中には、地元の方言について解説した「津軽弁の部屋」もあります。