どういう意味?
「任務や使命」のことです。
もう少し詳しく教えて
ミッション(mission)とは「任務や使命」のことです。この「任務や使命」には、大きく分けて三つの要素が含まれます。まず第 1 に「到達すべき目標がある」こと。第 2 に「目標に進んでいく行動がある」こと。そして第 3 に「それらが何かに求められていること」です。例えば「我が社のミッションは、社会の食文化を豊かにするために、新鮮な野菜を安く食卓に届けること」と言った場合、この文章には到達目標(=社会の食文化を豊かにする)と、行動(=新鮮な野菜を安く食卓に届ける)と、義務(=社会からの要請)という三つの要素が隠されています。
もっとも、実際にこの語が使用されている文章の中には、「到達目標」だけを表すものなど、三つの要素の一部だけを強調するものもあるので、文脈による慎重な判断が必要です。困った事にこの語は、人や立場によって厳密な定義が大きく異なることがあります。
なおミッションにはこの他にも「伝道・伝道団・ミッションスクール」「使節団・代表団」「変速機(トランスミッションの略)」などの意味もあります。
どんな時に登場する言葉?
目標が設定されるあらゆる分野で用いられている言葉です。例えば、経営などの分野では「当社のミッション」「プロジェクトのミッション」など、理念や目標を表現する言葉として多く登場します。これを特に「ミッションステートメント」と呼ぶ場合もあります。またその到達目標は「ミッションゴール」と呼ばれる場合もあります。
どんな経緯でこの語を使うように?
ミッションの語源はラテン語で「送る」などを意味する mittere です。その昔、キリスト教の礼拝の終わりに、司教が「Ite, missa est.(行きなさい、解散する)」と告げる習慣があったことから(missa est は受動完了形)、この表現が「神の言葉を送り届けよ」と解釈されるようになりました。ゆえにmission は「伝道」の意味を表すようになったのです。その後 mission は、広く一般に「任務や使命」の意味でも用いられるようになりました。例えば軍事(近年では宇宙開発)の分野では、一連の作戦行動のことをミッションと呼ぶ習慣があります。
ミッションの使い方を実例で教えて!
ミッションを達成する
ある任務や使命を全うした場合、これを「ミッションを達成した」などと表現することが可能です。
ミッションクリティカル
それがないと全体が機能しないほど「重要かつ不可欠な任務」のことを「ミッションクリティカル」と表現することができます。この場合のクリティカル(critical)とは「危機をはらんだ」とか「重要な」などを意味する言葉です。例えば金融機関の情報システムは、それが機能不全に陥ると、金融機関のみならず社会全体の機能不全も招いてしまうためミッションクリティカルシステムと呼ぶ事が出来ます。
『Mission:Impossible』(ミッションインポッシブル)
日本では「スパイ大作戦」のタイトルで知られるテレビドラマ「Mission:Impossible」(アメリカCBS・1966年~)は、「不可能な任務」を表す言葉です。最近では映画(1996年・2000年・2006年)としてリメイクもされました。
言い換えたい場合は?
単純にミッションを言い換える場合は、「任務・使命」などの語を用いて下さい。また、前述の三つの側面(目標・行動・義務)のうち一部が強調されている文脈の場合、次のような言い換えを用いることができます。まず目標が強調される文章の場合は「目標・目的・到達点・行動目標」など、行動が強調される文章の場合は「行動・仕事・作業」など、義務が強調される文章の場合は「義務・約束・理念」などの語を試してみてください。
なお、キリスト教でのミッションは「伝道・伝道団」など、団体としてのミッションは「代表団・使節団」など、軍事や宇宙開発でのミッションは「作戦・作戦行動・指令」など、トランスミッションの略としてのミッションは「変速機」の語を用いることができます。
雑学・うんちく・トリビアを教えて!
ミッションとミサイルとメッセージ ミッションの語源は、ラテン語で「送る」などを意味する mittere。これを語源とする語には、ミサイル(missile)、メッセージ(message)、トランスミッション(transmission)など実にさまざまな語が存在します。これらのすべてに「送る」意味が含まれています。