どういう意味?
他の語に付いて、「社会的」「社交的」という意を表します。
もう少し詳しく教えて
ソーシャル(social)は英語の形容詞で、「社会の」「社交の」を意味します。ソーシャルビジネス、ソーシャルメディアなどのように、他の語に付いて使われます。ソシアルダンス(社交ダンス)などのようにソシアルと表記される場合もあります。
どんな時に登場する言葉?
社会・社交が関連する分野で登場します。特に近年では、福祉・環境などの社会的課題を取り扱う分野、心理・教育分野、さらには IT(情報通信技術)の分野で、ソーシャルを含む新概念が次々と生まれています。
どんな経緯でこの語を使うように?
古くから使われている言葉です。例えば大正時代に出版された外来語辞典にはすでに「ソシアル」の項目が存在していました。
近年では、主に「社会的課題」と「IT」の両分野で、ソーシャルを冠する新概念が数多く生まれ、注目を集めています。そのためマスメディアでソーシャルの語を見聞きする機会も増えています。例えば『現代用語の基礎知識』(自由国民社)では、1991年版でソーシャルを含む複合語の項目が11語だったのに対して、2016年版では延べ23語にまで増えています。
ソーシャルの使い方を実例で教えて!
ソーシャルスキル
挨拶や意思表明、共感など、社会で人とかかわっていくなかで必要不可欠な技能を「ソーシャルスキル」といいます。そのような技能を訓練することは「ソーシャルスキルトレーニング」と呼ばれます。これらは心理・教育分野でよく登場する概念です。
ソーシャルワーカー
社会的弱者(貧困・障害・差別などの問題で生活に困っている人)のために行う直接的または間接的な支援活動を「ソーシャルワーク(social work)」と呼びます。またこの活動を行う人を「ソーシャルワーカー(social worker)」と呼びます。学校を活動拠点とする場合は「スクールソーシャルワーカー(school social worker / SSW)」、保健・医療を専門とする場合は「医療ソーシャルワーカー(medical social worker / MSW)」となります。
社会的課題のソーシャル
1987年に「持続可能な開発」という概念が世界的に注目されました(→サステナブル)。それ以来、国際社会は環境・資源・エネルギー・貧困・教育・人権といった「社会的課題」により大きな関心を向けています。その影響で、ソーシャルを冠した新概念も数多く日本語に入ってきました。
例えば「ソーシャルビジネス(social business)」は、社会的課題をビジネスの手法で解決しようとする考え方。そのようなビジネスを行うベンチャー企業(革新的な小企業)を「ソーシャルベンチャー(social venture)」と呼びます。
また「ソーシャルセクター(social sector)」とは、従来的な公共セクター(行政機関など)や民間セクター(民間企業など)とは異なる新たな組織区分のこと。NPO(非営利組織)や NGO(非政府組織)など、社会的課題の解決を目的とする非営利の民間組織を指します。このセクターは、近年、国際社会の中でも大きな存在感を示すようになりました。
ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)
IT(情報通信技術)の分野では、ゼロ年代(2000年~09年)の初頭から「ソーシャルネットワーキングサービス(social networking service)」、略して「SNS」が普及しました。インターネット上で結びついた人どうしが情報交換できるサービスです。日本でそのはしりとなったのはmixi(ミクシィ、2004年サービス開始)であり、2010年代に入ってからはスマートフォンの普及に伴ってFacebook(フェイスブック)、Twitter(ツイッター)、LINE(ライン)などの利用が急速に広がりました。
この SNS を含めて、個人どうしの情報交換によって成り立つメディア(電子掲示板、ブログ、動画サイトなども含む)を「ソーシャルメディア(social media)」と総称します。いわばクチコミの電子版とも言える存在です。
言い換えたい場合は?
複合語のソーシャルを言い換える場合は、まず定まった訳語があるかどうかを調べてみてください。例えばソーシャルワークには「社会福祉援助技術」、ソーシャルワーカーには「社会福祉士」、ソシアルダンスには「社交ダンス」という訳語が存在します。
定訳の有無に関わらず、多くの場合、単純な言い換えが困難です。例えばソーシャルメディアを「社交媒体」と言い換えても、おそらく読み手や聞き手は意味を理解できないことでしょう。面倒ではありますが「ネットを通じた個人どうしの情報交換で成り立つメディア」といった具合に、概念を簡単に説明してみてください。
雑学・うんちく・トリビアを教えて!
CSRのS ビジネスでよく見聞きするアルファベット略語の中にも、ソーシャル(social)が含まれるものがあります。代表例は「企業の社会的責任」を意味する「CSR」でしょう。CSR は corporate social responsibility の略です。(→CSR)
社会は「仲間」から始まった 英語の social の語源をたどると「社交的な」を意味するラテン語 socialis に行き着きます。その socialis の語源は、同じくラテン語の socius。これは「仲間」を意味する言葉です。つまりソーシャルは「仲間」を語源とする言葉なのです。