英和袖珍字彙
明治17年(1884)3月刊行
西山義行編、露木精一訂正/本文638頁/四六半截判
十字屋・開新堂・桃林堂の3社と共同で、三省堂が出版した最初の辞典。縦12cm余りの袖珍本ながら、約3万語を収録している。当時は、まだ日本語の文章を横に組むことが珍しく、横組みの外国語辞典では縦に組んだ日本語を横に倒す形式が普通だった(下記の引用では便宜上横組み)。また、漢字を使わずにカタカナだけで訳語を表記したのは、明治4年刊行の『浅解英和辞林』以来、小型英和辞典ではよく見られた。漢字を使う場合でも漢字・カタカナ交じり文が普通で、英和辞典がひらがな交じり文になるのは明治30年代のことである。
本書は、イギリス人のナットールがジョンソン英語辞書を学生用に小型化した辞典をもとにして、『附音挿図英和字彙』(日就社・明治6年・1873、明治20年に三省堂より翻刻出版)から熟語を補ったりしている。内容は簡素なものであるが、小型で収録語数が多かったため、増刷が間に合わなくなるほどの売れ行きだったという。明治16年に出版事業を始めてから3点目の出版物だった本書が三省堂の地歩を固めたのであった。
●最終項目
Zythum, s. シホトコムギヨリコシラヘタルノミモノ
●「猫」の項目
Cat, s. ネコ(ケモノ)
●「犬」の項目
Dog, s. イヌ(ケモノヽ)。ヒトヲイヤシムコトバ。ゴトク。カギナハ。ラウセイ(ホシノナ)
A hunting dog. カリイヌ
A wild dog. ノイヌ
A fierce dog. タケキイヌ
To givi to the dog. ウチステル ※
To go to the dog. ブンサンスル
※「givi」は「give」の誤り
和英袖珍字彙
明治21年(1888)4月27日刊行
高橋五郎編/本文437頁/四六半截判
編者はヘボン編『和英語林集成』三版(明治19年・1886)の編纂を補佐した経験があり、本書の訳語はそれと共通するものが多い。見出しの日本語は、同じ意味の類語を省きつつも、他の和英辞典より活字を小さくして収録語数を増やす工夫がされている。なお、序文や凡例・奥付は縦組みだが、本の開き方に合わせて左から右へ行が並べてある。小型の和英辞典がまだ少なかった時期に、十字屋・開新堂などの5社と共同で出版した。
●最終項目
Zuzudama, ヅヅダマ, n. Job’s tears, coix lachryma.
●「猫」の項目
Neko, 猫, n. A cat.
●「犬」の項目
Inu, 犬, 狗, n. A dog. カリイヌ, a hound; イヌジニ, useless death.
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英和袖珍字彙:
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和英袖珍字彙:
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(※リンク先は開新堂の明治33年刊のもの)
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