センチュリー英和辞典
昭和8年(1933)2月5日刊行
三省堂編輯所編/本文1606頁/三六判変形(縦191mm)
本書は、昭和3年刊行の『三省堂英和大辞典』より本文は1000頁ほど少なく、大正8年刊行の『模範新英和大辞典』に近い規模の辞典である。サイズは昭和4年刊行の『新訳和英辞典』(本文1502頁)にほぼ等しい。
内容は、『三省堂英和大辞典』をもとに簡約化しているが、意味分類や用例などに手を入れ、分かりやすくなっている。例えば、「猫」の意味分類は9つから5つに減り、「犬」のほうは9つから8つとなった。熟語(慣用句)は、「猫」が33から17に、「犬」は29から15に減った。
しかし、単純に減らしただけではなく、語釈に「備考」を設けたり、新たな熟語を加えたりもしている。また、動物の鳴き声、花ことばや宝石の石ことば(玉詞)が英語で掲げられた。
発音記号は、三省堂の大型辞典として初めて国際音声記号(ジョーンズ式)を採用。語釈は、従来どおりカタカナ交じり文で表記されていて、外来語は平仮名にしている。
付録には、「固有名一覧」30頁、「動詞ノ語形変化」7頁、「名詞ノ語形変化」3頁、「形容詞及副詞ノ比較」4頁、「常用略語解」12頁がある。
定価は3円50銭、普及定価は2円だった。『三省堂英和大辞典』の定価7円、特価5円50銭に比べると、かなり割安な印象である。
なお、「センチュリー」といえば、アメリカの『センチュリー辞典』(1889~91年、12巻)がある。イギリスの『オックスフォード英語辞典』(1884~1928、12巻)が完成するまでは、世界最大の英語辞典だった。書名の関連性について、序文では触れられていないが、当然知っていたうえで「センチュリー」を用いたものと思われる。
●最終項目
●「猫」の項目
●「犬」の項目