東日本大震災から約7か月が過ぎました。各地で復興祭が行われています。福島県の復興に対する意気込みがようやく言語表現の形でも見られるようになりました。最近、福島県を訪れると、「めげねぞ!! 福島」(【写真1】めげないぞ)、「復興にむけてがんばっぺ」(がんばろう)、「応援ありがとう、がんばる福島」、など、将来を見つめる姿勢がうかがえるキャッチフレーズをみかけます。このように方言は、地元の人々の気持ちを強く束ねるのに威力を発揮します。また、強い主張にもパンチを添えます。
福島では、商店街を「福の島」と名づけて「がんばっぺ!福島! いいとこいっぱいあっつぉい」と呼びかけました。「いいとこいっぱいあっつぉい」は、「いいところがたくさんあるよ」の意味です。「おそぐなっつぉい」(おそくなるよ)、「おそぐなるぞい」など「ツォイ」「ゾイ」が共通語の終助詞「ゾ」や「ヨ」の役割を果たします。「ツォイ」は、奥羽地方に聞かれます。それに対して、「ゾイ」は、栃木県、石川県、岐阜県をはじめ四国地方でもよく聞かれます。
ご当地を支援する物産展が開かれました。「がんばってっつぉい!」(【写真3】がんばってるよ!)に全国からの支援に応える気持ちがたくされています。
編集部から
皆さんもどこかで見たことがあるであろう、方言の書かれた湯のみ茶碗やのれんや手ぬぐい……。方言もあまり聞かれなくなってきた(と多くの方が思っている)昨今、それらは味のあるもの、懐かしいにおいがするものとして受け取られているのではないでしょうか。
方言みやげやグッズから見えてくる、「地域語の経済と社会」とは。方言研究の第一線でご活躍中の先生方によるリレー連載です。