みなさん,「ぎふ」って書けますか。岐阜県ってどこにあるかご存じですか。
毎年発表される『都道府県別魅力度ランキング』で,岐阜県は下位を低迷しています。2014年は,なんと40位。中途半端にさらに下位の県があるために,話題にもなりません。
個性がないと思われているのは,観光だけではありません。方言もまた個性がないと捉えられているようです。私が項目を担当した方言辞典でも,名古屋市の記述があれば岐阜市は要りません。むしろ飛驒高山ならば,情緒もある言葉が取り上げられます。
合掌集落で有名な白川郷や高山市のある県北部の飛驒地方では,過去にも,第155・69・59・54・44・41・39・37・32の各回(リンクは末尾)で取り上げられた方言看板が観光客を出迎えます【写真1】。「ようおいでんさった」〔ようこそいらっしゃいました〕の看板の裏には,これもまた方言で「あんきにはいってくれんさい」〔お気軽に入ってください〕と書いてあります。「あんき」は,漢字で「安気」。岐阜県では,この言葉がよく使われます。
一方,岐阜県南部の美濃(みの)地方は,名古屋へのアクセスもよく,戦国時代以来,属国扱いでした。今でも,岐阜県南部は名古屋への通勤圏ですので,言葉の融合も進んでいると思われがちです。岐阜市内には,「それって名古屋弁やんか」と思わせる「-してちょう」〔-してください〕という中古自動車屋の看板もあり,岐阜県人自身が,「岐阜の方言って何?」と戸惑っている様もうかがえます。
さて,そんな岐阜県では,子どもたちに郷土の方言を教えようと,毎年,県図書館で催し物をしています。その名も「楽習会(がくしゅうかい)~ことばしらべをしてみよう」です。今年で9回目を迎えます。苦労するのは集客です。毎年とはいきませんが,たまにちょっとした方言グッズを作成して県内の先生方へのアピールをしています。2014年度には,方言ファイル【写真2】を作りました。
次世代の子どもたちに方言を残すことは,容易ではありません。しかし,毎年,数十人でも「方言っておもしれーやん」と思ってもらえるよう,今年もこのファイルを持って,集客に回ります。
*