前回まで look や watch、mind を用いた注意喚起表現をみてきましたが、今回は相手のことばに同意する表現を考えてみます。
of course や certainly は相手からの要請を是認する用法が典型ですが、相手の質問や主張を受け、それに対して同意したことを伝える表現としてもよく用いられます。ただ、of course には「当然のこと」という含みがあるので、ときには相手がわかりきった、不必要な質問、主張をしたというニュアンスを伝えることがあることに注意しましょう。本辞典からの引用です。
4 〈相手の質問を受けて〉もちろんそうです, 当たり前だよ(◆「言うまでもないこと」という含みがある):“Do you love your husband?” “Of course, I do.” 「あなた, ご主人のこと愛してる?」「もちろんよ」 “Can I get transportation money?” “Of course.” 「交通費はいただけるのですね?」「もちろんです」 “You’ll remember to cancel the appointment?” “Of course.” 「予約を取り消すのを忘れてないでしょうね」「もちろんよ」
いずれも「当たり前である」という話し手の気持ちが伝わってきます。たとえば、第1例では「言わずもがな」ということから「どうしてそんな質問をするのか」と相手に異議を唱えるものと解される可能性があります。また、これらの例では certainly と言い換え可能ですが、その場合、of course にみられる含みはなく、単に了解したことを述べる言い方になります。たとえば、第3例の of course を certainly に換えると「忘れずにしておきます」ほどの意となります。
次は同じく主張や質問を受けて certainly が用いられている例ですが、相手の言ったことに対する積極的な賛意を表します。
5 〈主張や質問に対して〉その通り, もちろん(◆下降調で):“Dan suggested we have a surprise party for Mom and Dad’s 30th anniversary. I think it’s a good idea.” “Certainly.” 「ダンがお父さん, お母さんの30回目の結婚記念日にサプライズパーティをしては, と言っているんだけど, 私もよい考えだと思うの」「そうだね」 “Would you agree that it is still a difficult world for women to live in alone?” “Oh, certainly. I think that this is one of the major problems.” 「まだ女性が1人では生きにくい世界だと思いませんか」「本当にその通り. それはとても大きな問題だと思うわ」.
いずれも「まったく私も同感である」という気持ちが伝わってきます。
相手の発言をそのまま受けて同意する表現に Right. とか That’s right. があります。
1 〈相手の発話に同意して〉そうです, その通りです:“It’s really hot today.” “Right.” 「今日は本当に暑いね」「本当に」
1 〈同意や確認して〉そうですよ:“Is this Piccadilly Circus?” “That’s right, mate.” 「ここはピカデリーサーカスですか」「おう, そうだよ」.
2 まったくその通り, そう言ってもよい:《相手は本気で言ったわけではないのに》 “What’s wrong? You look pale as if you were dead.” “That’s right. I’m a dead man. I’ve lost my wallet which contains 100,000 yen.” 「どうしたの? まるで死人のように青ざめているよ」「その通りなんだ. 死んでるよ, 僕は. 10万円入った財布を落としてしまったのだから」.
これらは相手の意見に同調する言い方ですが、積極性は特にありません。また、とりわけ Right. は、上の例のように、あいづちに近い表現となることがあります。