[意味]
鉄道などの公共交通機関が、台風などの悪天候で運行への影響が予測される場合に、事前に予告したうえで運行をとりやめること。
[補説]
2014年8月に台風11号で鉄道網がまひしたことなどを教訓とし、JR西日本が同年10月、台風19号接近の際に初めて大規模に実施したとされる。
[関連]
激甚災害、安全第一
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9月と10月に大型で強い台風が日本列島に上陸しました。記録的な暴風となった台風15号では大規模停電とそれに伴う断水、豪雨をもたらした台風19号では複数の河川が氾濫するなど、各地に大きな爪痕を残しています。
9月9日、首都圏の鉄道各社が始発から「計画運休」を実施し、一部の路線で運行再開が遅れるなど交通網の混乱が続いたことは、まだ記憶に新しいことと思います。JR東日本では前日の8日に首都圏の全在来線の計画運休を発表し、9日午前8時ごろの運転再開を見込んでいましたが、復旧が遅れたことにより277万人超に影響が出たといいます。10月12~13日にも鉄道の計画運休や空港の運用停止で交通機能が大きく制限されたほか、多くの商業施設などが休業となりました。
悪天候の影響による大規模な計画運休を最初に行ったのは2014年のJR西日本だといわれています。日本経済新聞の記事データベースで2010~2018年に「計画運休」が登場した記事を検索したところ、2014年の2件から始まり2018年に41件と急増します。同年は大型台風の上陸が続き多くの鉄道会社で計画運休が実施され、「ユーキャン新語・流行語大賞」の候補に「計画運休」がノミネートされた年でもあります。
この新語とも思える「計画運休」ですが、さらに古い記事を調べていきますとわずかですが使用例が見られました。2004~2008年に航空機関係で3件、1960~1980年代には国鉄関係でも4件ほど確認できます。航空関係は機材整備によるもの、国鉄関係は豪雪、台風、貨物輸送の低調による運休でした。規模などからすると現在の計画運休とはかなり意味合いが異なるようです。
悪天候を起因とする災害が相次ぎ、交通機関が運休することに対する利用者の理解も進んでいます。「計画運休」という言葉が定着したとはいえ、災害は無いに越したことはありません。今回の災害による犠牲者の方々に哀悼の意を表するとともに、被災地域の復旧・復興ができるだけ早く実現することを願っております。
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新四字熟語の「新」には、「故事が由来ではない」「新聞記事に見られる」「新しい意味を持った」という意味を込めています。