[意味]
【信頼】
ある人や物を高く評価して、すべて任せられるという気持ちをいだくこと。
【回復】
①一度悪い状態になったものが、元の状態になること。②一度失ったものを取り戻すこと。
(大辞林第四版から)
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「先頭に立って国民の信頼回復に全力を尽くす」(岸田文雄首相の年頭所感から)。自民党派閥による裏金問題、企業の不正など2024年も年初から「信頼回復」が新聞紙面に頻繁に現れています。新聞記事データベース「日経テレコン」で調べたところ、日本経済新聞朝夕刊で2月末までに「信頼回復」が登場した記事は52件で、うち7割超の38件が国内政治に関するものでした。
そもそも「信頼回復」は故事由来の四字熟語ではありません。常用漢字表の改定以降に刊行・改訂された主な国語辞典16種を見ても項目は皆無。「信頼」と「回復」の2語から成り、意味も単に「信頼を回復すること」。特徴といえば、特に政治関係で多く見られ、よく使われるのは不祥事が発覚したときで、信頼が回復したような場面ではまず用いられないといったところでしょうか。
「信頼回復」の出現記事件数を示したグラフでは、2002年(448件)と2007年(470件)に大きな山があります。2002年は原子力発電所のトラブル隠しや食品の産地偽装が問題になり、2007年は年金記録漏れ、食品の賞味期限改ざんなどがありました。それなりの年月がたっているとはいえ、記憶に新しい出来事のように思えます。
裏金問題については、もともと「信頼」がなかったのだから「回復」なんて言うのもおこがましいなどといった厳しい声も聞こえてきます。どんなことであれ信頼なくしては私たちの生活は成り立ちません。「信頼回復」よりも、まずは「信頼構築」することが大事なはずです。
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新四字熟語の「新」には、「故事が由来ではない」「新聞記事に見られる」「新しい意味を持った」という意味を込めています。