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第54回【街角景気】まちかどけいき

筆者:
2024年2月26日

[意味]

景気ウオッチャーによる景気調査のこと。(大辞林第四版から)

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内閣府が実施する景気ウオッチャー調査は「街角景気」とも呼ばれます。庶民的な視線で景気を把握することを目的に、全国の12地域(北海道、東北、北関東、南関東、甲信越、東海、北陸、近畿、中国、四国、九州、沖縄)を対象に毎月実施されるもので、2000年1月に開始。堺屋太一氏が経済企画庁長官当時に設計主導したといいます。

タクシー運転手、スーパーマーケットやコンビニエンスストアの店長・店員、レストランや宿泊施設の従業員などといった消費者とじかに接する人を景気ウオッチャー(2050人)に任命し、景気の現状や先行きを聞き取り、集計・分析された結果が発表されます。

景気ウオッチャーは3カ月前と比べた景気の現状や2~3カ月先の景気見通しについて、「良い」「やや良い」「どちらともいえない」「やや悪い」「悪い」の5段階で回答し、そこから指数を算出。数値は50が横ばいを表し、50を上回れば「景気が良い」、下回れば「景気が悪い」と感じる人が多いということになります。

調査の特徴とされるのが、その速報性。毎月25日から月末にかけて行われたものが、翌月の第6営業日ごろには結果公表されるので、地域ごとの景気動向を迅速に捉えることができます。また、「単価の上昇で、より低単価な商材を求める客が増えている」(コンビニ経営者)といった景気ウオッチャーによる自由回答のコメントも公表されることから、より具体的でリアルな動向もつかめます。

2月8日に発表された2024年1月の景気ウオッチャー調査では、景気実感を示す現状判断指数が50.2と前月比で1.6ポイント低下しました。前月を下回るのは4カ月ぶりで、物価上昇による消費者の節約志向の強まりや、能登半島地震が発生した影響も表れました。一方、先行き判断指数は52.5と2.1ポイント上昇。こちらは春季労使交渉(春闘)による賃上げへの期待が表れた結果となっています。

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新四字熟語の「新」には、「故事が由来ではない」「新聞記事に見られる」「新しい意味を持った」という意味を込めています。

筆者プロフィール

小林 肇 ( こばやし・はじめ)

日本経済新聞社 用語幹事・専修大学協力講座講師。1990年、日本経済新聞社に入社。日経電子版コラム「ことばオンライン」、日経ビジネススクール オンライン講座「ビジネス文章力養成講座」などを担当。著書に『マスコミ用語担当者がつくった 使える! 用字用語辞典』(共著、三省堂)、『方言漢字事典』(項目執筆、研究社)、『謎だらけの日本語』『日本語ふしぎ探検』(共著、日経プレミアシリーズ)、『文章と文体』(共著、朝倉書店)、『日本語大事典』(項目執筆、朝倉書店)、『大辞林 第四版』(編集協力、三省堂)などがある。日本漢字能力検定協会ウェブサイト『漢字カフェ』で、コラム「新聞漢字あれこれ」を連載中。

編集部から

四字熟語と言えば、故事ことわざや格言の類で、日本語の中でも特別の存在感があります。ところが、それらの伝統的な四字熟語とは違って、気づかない四字熟語が盛んに使われています。本コラムでは、日々、新聞のことばを観察し続けている日本経済新聞社用語幹事で、『大辞林第四版』編集協力者の小林肇さんが、それらの四字熟語、いわば「新四字熟語」をつまみ上げ、解説してくれます。どうぞ、新四字熟語の世界をお楽しみください。

毎月最終月曜日更新。