[意味]
国家基本政策委員会で、週一回四五分間、自由なテーマで一問一答形式によっておこなわれる首相と野党党首の討論。イギリス議会下院のクエスチョン-タイムを参考に、二〇〇〇年(平成一二)の通常国会より導入。(大辞林第四版から)
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首相と野党党首が論戦を交わす「党首討論」がここのところ実施されていません。直近最後の開催は菅義偉氏が首相だった2021年6月で、正式導入した2000年以降の首相11人のうち、一度も行っていないのは現職の岸田文雄首相だけとなっています。
党首討論の導入は国会審議を活性化させることを目的にしたもので、二大政党制を念頭にトップ同士の論戦を通じてどちらが政権にふさわしいかを国民に示す役割が期待されていました。設置された2000年には最多の8回が開かれましたが、徐々に減りつつあります。森友・加計学園問題が政権を揺るがした2017年とコロナ禍に見舞われた2020年はゼロで、それ以外でも年1~2回にとどまり、岸田政権でもゼロ。記事データベース「日経テレコン」で調べた「党首討論」の日本経済新聞での出現記事件数も、2000年を頂点に減少傾向が続きます。
国会会期中、首相が本会議や予算委員会などに出席する週を除き、週1回45分間、水曜日の午後3時から開催するとした与野党の申し合わせは形骸化。無用な失点を避けたい首相側と、質疑時間が長い予算委を優先したい野党第1党・立憲民主党側の双方に、開催に消極的な姿勢がうかがえます。
こうした現状を踏まえ、日本維新の会、国民民主党などは昨年12月、所管委員会である国家基本政策委員会を廃止するための法案を衆院に提出しました。維新の遠藤敬国会対策委員長は記者会見で「無駄な税金を使う委員会は必要ない」などと述べています。法案は継続審議となりました。
岸田首相の在任中に党首討論が実施されることはあるのでしょうか。
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新四字熟語の「新」には、「故事が由来ではない」「新聞記事に見られる」「新しい意味を持った」という意味を込めています。