(3) 表現別
前回、表現別に分類してある項目の数は70個であると書きました。(3) 表現別が7つの「大分類」のうちの1つですから、70個の項目は、それぞれが「中分類」ということになります。
今回から3回にわたり、その70個のうち、重要な項目を選択して「小分類」、「細分類」、必要によっては「細々分類」に分類していき、その分類の仕方を理解していただくことにします。
今回は、「1.異・違・差」を取り上げ、細かく分類していきます。
「分類」作業の説明に入る前に、「分類方法」について説明します。
読者の皆さんが、これから「トミイ方式」に従って「重要表現」を収集し、それを分類する場合、次の2つの方法があります。皆さんは、そのどちらかを選択するか、または両者を上手にミックスして採択するかして作業を進めていく必要があります。
(1) 「トミイ方式」を活用
これは、現在すでに分類の終わっている「トミイ方式」の「分類表」に従い、その「分類表」の中に収集したデータを集まった順に流し込んでいく方法です。
(2) 白紙状態からスタート
最初のしばらくは、ただひたすら貪欲にデータを収集し、データがある量(枚数)に達した後、自分のやり方でそのデータを分類していく方法です。
(1)は、極めて簡単ですぐにでも始めることができ、時間もかからず、比較的容易に分類できるというメリットがあります。しかし、分類作業を通して学習する「学習機能」が発揮できないというデメリットがあります。
一方、(2)は、収集したデータを自分のやり方で分類するわけですから、分類作業を通して学習する「学習機能」をいかんなく発揮できるという大きなメリットがあります。その反面、時間と労力がかかります。よほど意思が強くないと、長続きできません。これは大きなデメリットです。ただ、筆者は、37年前から現在まで、ずっと実践し続けてきたという事実を忘れないでください。
ready-madeの「分類表」を使って分類したのでは「トミイ方式」への挑戦という意味が達成できませんので、まず(2)を基準にして話を進め、最終的に、(1)をご披露するという手法で説明を進めていくことにします。
(1)を基準にして分類作業を進めていく場合、最終的な「トミイ方式」の分類に到達するまでには、おおよそ、次の4つのステップがあります。順に説明していきます。
ステップ1:貪欲なるデータ収集です。
とにかくがむしゃらに収集します。その際、決して、「この表現はすでに1枚集めたからもういいや」ということを考えず、出てきたら、理屈なく、何でもかでも貪欲に集めていくことです。時間がかかりますが、その気になって集めれば、100点や200点はすぐに集まるはずです。やはり、最低100点くらい集まらないと、分類しようにも分類することができません。欲をいえば、200点くらいは欲しいところです。そしてこの作業は、生涯続くと考えたほうがよいです。
ステップ2:細分類をします。
「表現別」が7つの大分類の中の「中分類」であり、その中の「異・違・差」が「小分類」ですから、この先の分類は「細分類」ということになります。「1.異・違・差」の場合、集まったデータを細分類してみたところ、「名詞」「動詞」「形容詞」「副詞」「前置詞」の5つには分類できました。この5つの品詞の配列順序は、必ずしも、決まったものではありません。「表現」によって変えても構いませんし、それよりも、「表現」によっては、これら5つすべての品詞を有していないものや6つ以上有しているものもあります。さらには、「品詞」ではなく、単なる「言い回し」である場合もあります。
ステップ3:細々分類をします。
各品詞に分けたものを、さらに、シチュエーション別に分類して行きます。これが「細々分類」です。
ステップ4:極細分類をします。
各シチュエーション毎に分類したものを、さらに分類しなければならないことがあります。これが「極細分類」です。
しかし、100点や200点ばかりのデータ数では、ステップ4まで進む必要はありませんし、それよりも、そこまで分類しようとしてもできません。したがって、ステップ2までは確実に分類し、可能でしたら、部分的にステップ3まで分類するという程度に考えておくだけで十分です。
それでは、上記した各ステップを、実例を使って検証していくことにします。ステップ1は、ただひたすらデータを収集する工程ですので、ステップ2から始めることにします。
ステップ2
「異・違・差」でくくって収集してきた英例文を大きな机の上でグループ分けしてみると、次の5つに分類することができました。
1)「差・違い」という名詞形
2)「異なる・違う」という動詞形
3)「異なった(違った)」という形容詞形
4)「異なって」という副詞形
5)「――とは違って」という前置詞形
ステップ3
これら5個の「小分類」それぞれを、さらに分類して行ったところ、次のように「細分類」することができました。
1)差・違い(名詞形)
これは、さらに次の9つに分けられました。
a)差・違い・相違点など
b)――と……との間の違い(または,差・相違・相違点など)
c)――の間の違い(または,差・相違・相違点など)
d)……の違い・差
e)――と……との間の____の差
f)――の間の の差(または,差・相違・相違点など)
g)――との,または,――からの差・違い
h)――の……との差・違い
i)どれだけ(数量)の差・違い
2)異なる・違う(動詞形)
これは、次の7つに分けられました。
a)――は異なる・違う(異なっている・違っている)
b)――は……が異なる・違う
c)――は……とは異なる・違う
d)――は……とは____の点( である点)が異なる・違う
e)――は……とはthat以下の点が異なる・違う
f)――は(……が)互いに異なる
g)――は……によって異なる・違う
3)異なった(違った)(形容詞形)
これは、次の2つに分けられました。
a)異なった(違った)――
b)……と異なった(違った)――
4)異なって(副詞形)
これは、次の3つに分けられました。
a)異なって,違うように
b)――とは異なって
c)――とは違うように
5)――とは違って(前置詞形)
これは、次の2つに分けられました。
a)――とは違って……は
b)……は,――とは違って(――とは反対に) する
実際には、よほどの数のデータが集まっていない限り、ここまでの分類はできません。したがって、(1)の方法、すなわち「トミイ方式」を活用する方法で分類作業をするならば、集まっているだけのデータを既存の分類表に流し込んでいけば、それだけでかなりの成果が得られます。さらには、日々、集めたデータをその場で即座に既存の分類表に流し込んでいくこともできます。その点、(2)の方法、すなわち、白紙状態からスタートする方法で分類作業をする場合には、やればやっただけのことはありますから前に述べた「学習機能」は大いに発揮できますが、「活用機能」が発揮できるのは、スタートしてから、かなり先のことになります。
ただ分類はこれで終わったわけではありません。まだ、分類した最終の末端項目に対応英語を付す作業が残っています。
これについては、次回、ステップ5として説明します。