(3) 表現別・3
前回、「異・違・差」を例にあげ、集まったデータの分類の仕方について、「細分類」までの分類方法について述べました。今回は、その「細分類」した項目に、対応英語を付す作業をステップ5として述べていきます。
ステップ5
「細分類」した項目に対応英語を付す作業ですが、対応英語が1つである場合もあれば2つ以上ある場合もあります。2つ以上ある場合には、さらなる分類が必要になります。ここでは、参考になるような特長的な項目に限定し、1つの対応英語の場合のみならず2つ以上の対応英語の場合も含め、典型的な項目を示していきます。
1)差・違い(名詞形)
これは、さらに次の9つに分けられました。
a)差・違い・相違点など
b)――と……との間の違い(または,差・相違・相違点など)
difference between …… and —-
c)――の間の違い(または,差・相違・相違点など)
difference between (two) ……s
difference among ……s
d)……の違い・差
difference in ____
…… difference
e)――と……との間の____の差
difference in ____ between …… and —-
____ difference between …… and —-
f)――の間の の差(または,差・相違・相違点など)
g)――との,または,――からの差・違い
h)――の……との差・違い
i)どれだけ(数量)の差・違い
2)異なる・違う(動詞形)
これは、次の7つに分けられました。
a)――は異なる・違う(異なっている・違っている)
―― differ
―― is different
―― is dissimilar
b)――は____が異なる・違う
―― differ in ____
―― is different in ____
c)――は……とは異なる・違う
―― differ from ……
―― is different from ……
―― is different than ……
d)――は……とは____の点( である点)が異なる・違う
―― differ from …… in ____
―― differ in ____ from ……(上とは語順が変わっただけです)
―― is different from …… in ____
―― is different in ____ from ……(上とは語順が変わっただけです)
e)――は……とはthat以下の点が異なる・違う
―― differ from …… in that S + V
―― is different from …… in that S + V
f)――は(……が)互いに異なる
g)――は……によって異なる・違う
3)異なった[違った](形容詞形)
これは、次の2つに分けられました。
a)異なった[違った]――
b)……と異なった[違った]――
4)異なって(副詞形)
これは、次の3つに分けられました。
a)異なって,違うように
b)――とは異なって
c)――とは違うように
5)――とは違って(前置詞形)
これは、次の2つに分けられました。
a)――とは違って……は
Unlike ――, ……
b)……は,――とは違って(――とは反対に)する
さらに厳密にいうと、これらの対応英語の後ろには、その言葉が使われている英例文が続きます。分類しても、肝心の英例文がなくては、何の意味もありません。さらにいうと、各英例文に和訳文を付けると理想的です。しかし、これは非常に時間のかかることですので、費用対効果を考えると、あまり意味はありません。筆者も、よほどのものでない限り、ここまでは、やっていません。
それでは、同じような手法でもう1つ別の例を取り上げてみましょう。次は「影響」の表現です。
1)影響(名詞形)
名詞形は、次の4つに分けられました。
a)影響
b)――の影響
c)……への影響
d)――の……への影響
2)影響を及ぼす(動詞形)
動詞形は、次の2つに分けられました。
a)――は……に影響を持つ[及ぼす]
b)――は……に影響は持たない[及ぼさない]
3)影響を受ける(受身の動詞形)
動詞形はさらに受身形も独立させ、次の4つに分けられました。
a)――は影響を受ける
b)――は……の[によって]影響を受ける
c)――は影響を受けない
d)――は……の影響を受けない
4)影響を及ぼす[受ける](形容詞形)
形容詞形は、次の3つに分けられました。
a)――に影響を及ぼす[持つ]……
b)――の影響を受ける……
c)――に影響を及ぼすことのない……
5)影響を及ぼすことなく,影響下でなど(副詞形)
副詞形は、次の2つに分けられました。
a)――に影響を及ぼすことなく
b)――の影響のもとに
6)悪影響
さらに悪影響についても一括して独立させ、次の8つに分けられました。
a)悪影響
b)――の悪影響
c)――への悪影響
d)悪影響なしに
e)――に悪影響を及ぼすことなく
f)――は……に悪影響を持つ[及ぼす]
g)――は……に悪影響は持たない[及ぼさない]
h)――は(……の)悪影響を受ける
これに対して、「異・違・差」の場合と同様、典型的な項目に対応英語を添えていきます。
1)影響(名詞形)
a)影響
b)――の影響
effetct of ――
influence of ――
impact of ――
c)……への影響
effect on ……
influence on ……
impact on ……
d)――の……への影響
effetct of ―― on ……
influence of ―― on ……
impact of ―― on ……
注:d)はb)とc)の合成であることがわかります。
2)影響を及ぼす(動詞形)
a)――は……に影響を持つ[及ぼす]
i) ―― have [exert] effect [influence、impact] on ……
ii) ―― affect [influence、impact] ……
注:i) は、effectやinfluenceやimpactなどの名詞形を使い、haveやexertという動詞で表わす表現方法であり、ii) はaffectという動詞や、influenceやかimpactなどの動詞形を使って表わす表現方法です。これにより、「影響」の名詞形を使った場合には、前置詞onをとり、動詞形を使った場合にはonは取らないことがわかります。なお、この場合、i)やii)は、さらに下層の「極細分類」ということになります。
b)――は……に影響は持たない[及ぼさない]
今回は紙面の関係上、すべての項目に対して対応英語を付することはできませんでしたが、根気よく何年も続けていくと、上に挙げた項目すべてに対して英例文が集められるはずです。現に、上に挙げた「異・違・差」および「影響」の項目は、すべて、収集した英例文を分類したものばかりです。
次回は、もう1回(3) 表現別を扱い、重要表現を3つほど取り上げたいと思います。