「Underwood Forum」は、アンダーウッド社が1961年に発売した電動タイプライターです。この頃、アンダーウッド社は、イタリアのオリベッティ社の傘下に入っており、「Underwood Forum」も、オリベッティ社のピントーリ(Giovanni Pintori)のデザインによるものでした。ただし、「Underwood Forum」の製造はイタリアではなく、アメリカのコネティカット州ハートフォードが生産拠点の中心でした。
「Underwood Forum」は電動タイプライターですが、その印字機構はフロントストライク式で、プラテンの手前に44本の活字棒(type arm)が、扇状に配置されています。キーを押すと、対応する活字棒が電動で跳ね上がってきて、プラテンの前面に印字がおこなわれます。ただし、複数のキーを同時に押しても、活字棒は1本だけしか動かず、ジャミングは避けられるようになっていました。印字やシフト機構だけでなく、キャリッジ・リターンも、改行も、タブ機構も、バックスペースも、全て電動でおこなわれます。キーボードの最上段の上には、タブ機構の設定や解除に関するキーが並んでおり、タブ移動が左右両方向におこなえる、というのが「Underwood Forum」の特長でした。
「Underwood Forum」のキー配列は、「Underwood Golden-Touch Electric」ではなく、「IBM Electric Typewriter Model C」のキー配列をほぼ踏襲していて、44個のキーに86種類の文字が並んでいます。最上段のキーは234567890-=と並んでいて、シフト側が@#$%¢&*()_+です。すなわち、「@」が「2」のシフト側にあって、それ以前のUnderwoodとは異なり、むしろIBMのキー配列となっています。次の段はqwertyuiop½!と並んでいて、シフト側がQWERTYUIOP¼˚です。次の段はasdfghjkl;'と並んでいて、シフト側がASDFGHJKL:"であり、右端には「CARR RET」キーが配置されています。最下段はzxcvbnm,./と並んでいて、シフト側がZXCVBNM,.?です。すなわち、コンマとピリオドが、シフト側にもダブって搭載されているため、44個のキーに86種類の文字となるのです。なお、数字の「1」は小文字の「l」で代用することになっていたようです。
アンダーウッド社は、上の広告の翌年(1966年)にオリベッティ・アンダーウッド社へと社名を変更、生産拠点をペンシルバニア州ハリスバーグへと移します。これと前後して「Underwood Forum」も生産を終了し、アメリカやカナダにおいても、Olivettiブランドを展開していくようになるのです。