WISDOM in Depth

#14 Corpus-BasedからCorpus-Drivenへ (4)

筆者:
2008年2月5日

−語法記述編: 類義表現−

状況・様子・結果などについて漠然と質問をする際,日本語では「どう」「どんな」「何」が用いられるが,英語では how や what が用いられることが多い。ただ,どういった場合に how を使い,どういった場合に what を使えばいいかは迷うことが多い。「どうすればいいかわからなかった」は I didn’t know what to do. で表現できるし,「あなたの名前は何と読みますか」は How do you say [pronounce] your name? で表現できるように,必ずしも「どう」と how,「何」と what が対応するとは限らないからである。

一般的には,how は形容詞・副詞について尋ねる疑問文に,what は名詞について尋ねる疑問文に対応する。“How does it taste?”(それはどんな味がしますか)は “taste C” のように形容詞補語が続くことを想定した疑問文で,例えば “It tastes salty.”(塩辛いです)のような返答を期待している。一方,“What does it taste like?”(それは何の味がしますか)は,“taste like A” のように,前置詞 like の後に名詞が続くことを想定した疑問文で,例えば “It tastes like chicken.”(鶏(とり)の味がします)のような返答を期待している。

『ウィズダム英和辞典』(第2版)では,効率的に学習ができるよう,コーパスで how 及び what と相性のよい動詞を調査し主なものを,通例 how を用いるもの(look, sound, explain, rate, taste, spell, define, put it, pronounce),通例whatを用いるもの(look like, call, smell, taste like, consider),how と what のいずれも可能だが意味用法が異なるもの(think, feel, like, find, see, mean, say)の3種類に分類した上で示しておいた。

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筆者プロフィール

井上 永幸 ( いのうえ・ながゆき)

徳島大学総合科学部教授。
専門は英語学(現代英語の文法と語法),コーパス言語学,辞書学。
編纂に携わった辞書は『ジーニアス英和辞典初版』(大修館書店),『英語基本形容詞・副詞辞典』(研究社出版),『ニューセンチュリー和英辞典2版』(三省堂),『ジーニアス英和大辞典』(大修館書店)など多数。

編集部から

辞書の凝縮された記述の裏には,膨大な知見が隠れています。紙幅の関係で辞書には収めきれなかった情報を,WISDOM in Depth と題して,『ウィズダム英和辞典 第2版』の編者・編集委員の先生方にお書きいただきます(※2018年7月現在、ウィズダム英和辞典は第3版が刊行されております)。