どういう意味?
「正しいもの」「適切なもの」「本来的なもの」「特有のもの」のことです。
もう少し詳しく教えて
プロパー(proper)とは、英語の形容詞で「正しい」「適切な」「本来的な」「特有の」などの意味を表します。これが転じて、日本語のプロパーは「正しいもの」「適切なもの」「本来的なもの」「特有のもの」などを意味し、名詞的な用いられ方をします。多くの場合、他の言葉と熟語を作り、例えば「プロパー社員」と言えば「正社員や生え抜きの社員」という意味に、「社会学プロパーの問題」と言えば「社会学に固有の問題」という意味になります。
どんな時に登場する言葉?
分野に限らず広く用いられる言葉ですが、職場内・業界内・仲間内の言葉として登場する場面が多いようです。例えば、糸井重里が主宰するウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」の「オトナ語の謎」には、職場で用いられる意味の分かりにくい言葉として、プロパーが紹介されています。
どんな経緯でこの語を使うように?
各業界や職場で、それぞれ独自に用いるようになった表現のようです。
プロパーの使い方を実例で教えて!
プロパー社員
いわゆる職場言葉の世界では「プロパー社員(職員)」もしくは「プロパー」という表現をよく用いますが、その具体的な意味は各々の職場によって異なります。まず一つ目に考えられるのは、中途入社ではない「生え抜きの社員」という意味。もう一つ考えられるのは、出向社員や契約社員ではない「正社員」という意味です。従って「田中ってプロパーだっけ?」という言い方をした場合、「田中って生え抜きの社員だっけ?」あるいは「田中って正社員だっけ?」のどちらかの意味を表す事になります。
社会学プロパー
学問の分野では「○○学プロパー」という表現によって、「○○学を専攻している人」「○○学本来の」という意味を表すことができます。例えば「社会学プロパーの問題だ」と言った場合は「社会学に固有の問題だ」という意味に、「社会学プロパーの皆さんへ」と言った場合は「社会学を専攻している皆さんへ」となります。同じ語であるにもかかわらず、文脈によって異なる意味になりうる点に注意してください。
プロパー商品/プロパー融資/プロパーカード
この他、さまざまな分野でもプロパーの語が用いられます。例えば流通の分野では、卸売業者から小売業者に卸される正規商品などが「プロパー商品」と呼ばれます(同業界内で他の意味もあります)。また金融の分野では、金融機関が独自に行う融資を「プロパー融資」と呼びます(信用保証協会の保証付き融資に対比して言う)。また信販の分野では、信販会社が他社との提携なしに発行する独自のクレジットカードのことを「プロパーカード」と呼びます。いずれの場合も、正規・独自などの意味を持っています。
言い換えたい場合は?
残念ながらプロパーには、一般的に定まった言い換え表現が存在しません。しかも「プロパー社員」(生え抜きの社員/正社員)のように、文脈によって異なる意味を持つ表現も数多く存在します。従って、使用場面に応じた適切な言い換え表現を探す必要があります。「正規・適切・本来・特有・固有」などの語を念頭に置けば、表現が見つかりやすいと思います。
雑学・うんちく・トリビアを教えて!
製薬分野のプロパー 製薬の分野では、医療情報担当者(製薬会社から医療機関に出向いて、医薬情報の提供や宣伝を行う担当者)のことを、かつてプロパーと呼んでいました。しかしながら昭和40~50年代頃、彼らプロパーが医師に対して過剰な営業活動(接待など)を行なったことからイメージが悪くなり、後にMR(medical representative; 医薬情報に関する会社の代表の意味)という呼称に変更されています。ちなみにこの場合のプロパーの語源は、プロパガンディスト(propagandist; 宣伝する者)と言われています。