選挙の際、政党などが発表する「具体的な公約」のことです。
もともとマニフェスト(manifesto)は「宣言・声明書」を意味する言葉ですが、特に政治の分野では「選挙の際に政党などが発表する、具体的な公約」を意味します。従来の公約が抽象的なスローガンになりがちなのに比べ、マニフェストでは「政策の数値目標・実施期限・財源・方法」などを明示するのが普通です。これにより政策の実現性を、より明確に判断できるようにするわけです。
ちなみにマニフェストには「積荷目録・管理票」などの意味もありますが、前述のマニフェストとは「ほんの少しだけ」異なる概念です。英語でのつづり(manifest)や発音も異なります。船舶の積荷目録や、産廃物の管理票(不法投棄を防止するシステム)などがこう呼ばれます。
選挙の際に、立候補者・政党・マスコミ・シンクタンク(政策決定などの研究機関)などがよく用いる言葉です。とりわけ国政選挙の場でよく用いられ、その場合は特に“政権公約”を意味します。例えば、2003年(平成15)の衆院選では、民主党が「民主党の政権政策/マニフェスト」と題した政策集(パンフレット)を配布しました。
この語が大きく注目されたきっかけは、2003年に行われた統一地方選と衆院選でした。まず統一地方選で多くの候補者がマニフェストを提示したことが話題となり、衆院選でも各政党が「政権公約」としてマニフェストを提示したのです。これらの流れを作り出すべくマニフェストの仕組みを提唱したのが、前三重県知事の北川正恭(まさやす)でした。
提案にあたって北川が参考にしたのは、イギリスの総選挙と言われています。イギリスでは総選挙の直前になると、保守党・労働党などの政党がマニフェストを発行して、書店などで販売しているのです。イギリスではこのような習慣が19世紀から続いています。1997年には、労働党が「国営病院の入院待ち患者を10万人削減する」などの数値目標をマニフェストで掲げ、与党に返り咲いたことが大きな話題になりました。
2003年にこの語が流行した際、マスコミはマニフェストを説明する語として「政権公約」の呼称を用いました。これは、同年に行われた衆院選が、二大政党制を念頭に置いた「政権選択選挙」として位置づけられていたことに起因する表現です。
もちろんマニフェストがさし示す内容は“政権”公約だけに限りません。広義のマニフェストを言い換えたい場合は、「政策要綱」「公約集」「検証可能な具体的公約」などの表現を考えてみて下さい。
2003年の流行語マニフェストは2003年の「新語・流行語大賞」の大賞に選定されています。受賞者は北川正恭でした。
語源を辿ると……マニフェストの語源は非常に複雑です。日本語のマニフェストからそのルーツを辿ると、日本語→英語(イギリス総選挙のマニフェスト)→イタリア語(イタリア共産党の宣言)→ドイツ語(マルクス・エンゲルスの『共産党宣言』)……→ラテン語(はっきり示すの意)ということになるようです。
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