10分でわかるカタカナ語

第31回 コミュニケーション

2006年2月1日

どういう意味?

「さまざまな情報内容を、さまざまな手段で、伝え合うこと」です。

もう少し詳しく教えて

コミュニケーション(communication)とは「さまざまな情報内容」を「さまざまな手段」で「伝え合う」ことを総称する言葉です。つまり「意思・感情・思考などのさまざまな情報内容」を「言葉・身振りや手振り・表情・通信技術などのさまざまな手段」を用いて「互いにそれらを伝え合う」ような状況が、コミュニケーションと総称されるわけです。「彼氏がプロポーズの言葉を言って、彼女が黙ってうなずく」ような場合も、「久しく会っていない友人と、電子メールで連絡を取り合う」ような場合も、コミュニケーションの仲間だということになります。なおコミュニケーションを行う存在は「人間どうし」とは限りません。実際、技術分野では、communication の訳語として「通信」の語が用いられています。

どんな時に登場する言葉?

情報伝達や意思伝達などが話題になるあらゆる分野で、この語が用いられています。例えば言語学などの分野では、どんな手法で情報伝達が行われるかによって「非言語コミュニケーション」「オーラル(口述の)コミュニケーション」などの語が使用されます。また広く一般社会でも、意思疎通が行われるグループの種類によって「組織内コミュニケーション」「異文化コミュニケーション」「世代間コミュニケーション」などの語が用いられます。このような意思伝達を図る能力のことを「コミュニケーションスキル」「コミュニケーション能力」などとも呼びます。

一方、情報通信の分野でも communication の語が登場しますが、これは「通信」を意味します。例えばテレビ放送方式の一種としても知られるCS(通信衛星)は、communication(s) satelliteの略語です。

どんな経緯でこの語を使うように?

各分野で、古くから用いられている語のようです。

コミュニケーションの使い方を実例で教えて!

コミュニケーションをとる/図る

異なる立場の人が、何らかの手段によって、意思や感情などの疎通を図る場合、「コミュニケーションをとる/図る」と表現することができます。「親子のコミュニケーションを図る」などの用法があります。

マスコミュニケーション

テレビ・ラジオ・新聞・雑誌などのことを、俗に「マスコミ」と呼んでいますが、これはマスコミュニケーション(mass communication)の略語です。「不特定の大衆に大量の情報を伝達すること」や「そのような媒体」をさします。このような媒体を、特にマスメディア(mass media)と言う場合もあります。マス(mass)は集団・大量・大衆などを意味する言葉です。

コミュニケーションツール

情報通信の分野では、人間どうしが連絡を取り合うためのあらゆるツール(道具)のことがコミュニケーションツールと呼ばれます。電話・ファックス・電子メール・ウェブページなど、さまざまなツールが使用されています。

言い換えたい場合は?

「伝達・疎通・連絡」などの語を、状況に応じて使い分けてみて下さい。伝えられる情報内容に注目する場合は「意思の疎通」「感情のやりとり」などのように表現することができます。また「コミュニケーションをとる/図る」は、「意思の疎通をとる/図る」などの表現で代替することが可能です。なお技術分野では communication の訳語として「通信」の語が定着しています。

雑学・うんちく・トリビアを教えて!

新しいコミニュケーション 「コミュ」の発音が日本語話者には難しいためか、はたまた字面がややこしいためか、一部の人の間でコ「ミニュ」ケーションの発音や表記が定着しているようです。このような現象を音位転倒(または音韻転倒)といいます。「シュミ」レーション(正しくは「シミュ」レーション)も音位転倒の代表例です。このような音位転倒語の中には「あたらし・い(古くは、あらたし)」のように、日本語の中で定着してしまったものまで存在します。

ディスコミュニケーション 意思の疎通が成り立たない様子を、俗に「ディスコミュニケーション」と表現しますが、この言葉、実は和製英語です。英語でこの語を用いた場合、英語話者とのディスコミュニケーションに悩まされるかもしれません。こんな時はコミュニケーションギャップ(communications gap)の表現を使用してみてください。

筆者プロフィール

三省堂編修所

編集部から

あなたはマスコミ報道や日常会話の中で、突然意味の分からないカタカナ語に出会い、困ってしまったことはありませんか?

「そもそもソリューションとは何なのか?」「どういう意味なのか?」「どういう時に使うのか?」「分かり易く言い換えるにはどうしたらいいか?」といった素朴な疑問は、いまさらヒトには聞けない疑問のひとつではないでしょうか?

そこでこのコーナーでは、社会での使用頻度が高いわりに意味がよく知られていないカタカナ語を選び出し、それらの意味や使い方について「10分でわかる」ようまとめてみました。このコーナーを見れば、あなたもカタカナ語が怖くなくなります。