WISDOM in Depth: #29
2008年 5月 13日 火曜日 筆者: 井上 永幸『ウィズダム英和辞典』の紙面には収めきれなかった情報を,WISDOM in Depth と題して,編者・編集委員・執筆者の先生方にお書きいただきます。第29回は,編者の井上永幸先生の11回目です。
コーパスで検証する (6)
−方向性と距離感−
英語には意味の中に方向性や距離感を含意する語が存在する。そのような語の代表的なものはcomeとgoやbringとtakeであろう。それぞれのペアのうち,前者のcomeとbringは話題になっているものに近づく動作を表し,後者のgoとtakeは話題になっているものから遠ざかる動作を表す。また,同様の方向性や距離感を含意するものには動詞だけでなく,thisとthatといった代名詞や形容詞,hereとthere,upとdownといった副詞のペアも存在する。『ウィズダム英和辞典』では,このような含意をもつ語句については,できるだけ統一的な理解ができるように解説を加えることはもちろん,用例や注記にも工夫を凝らしてある。
(1)のように,comeの動詞用法冒頭ではgoの方向性と距離感について説明を行い,(2)や(3)のように,具体的な用例ではできるだけ文脈に沿った注記を示している。
(1) come (動)(語法)(1)

(2) come (自)1a 第3用例

(3) come (自)1a 第7用例

(4)はgoの冒頭の説明で,(5)と(6)は用例と注記である。
(4) go (動)(語法)

(5) go (自)1a 第4用例

(6) go (自)1a 第5用例

同じ種類の方向性や距離感をもつ語を組み合わせたcome hereやgo there,up hereやdown thereといった連結は自然に理解できるが,条件さえ整えば,異なる方向性や距離感をもつ語を組み合わせたcome thereやup thereといった連結も起こりうる。(7)と(8)を見られたい。
(7) there (副)2a 第4用例

(8) weather (名)1 第4用例〔cf. up (副) 7a〕

go [take] hereという連結については,日常英語でも出会うことがあるので,(コーパスの窓)で詳しくふれておいた。
(9) here (副)1 (コーパスの窓)

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【筆者プロフィール】
井上 永幸 (いのうえ・ながゆき)
徳島大学総合科学部教授。
専門は英語学(現代英語の文法と語法),コーパス言語学,辞書学。
編纂に携わった辞書は『ジーニアス英和辞典初版』(大修館書店),『英語基本形容詞・副詞辞典』(研究社出版),『ニューセンチュリー和英辞典2版』(三省堂),『ジーニアス英和大辞典』(大修館書店)など多数。







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