古語辞典でみる和歌

第10回 「鶯の…」

2015年3月3日

鶯のなけどもいまだふる雪に杉の葉しろき逢坂(あふさか)の山

出典

新古今・春上・一八・後鳥羽院(ごとばゐん)

春を告げるうぐいすが鳴いているのに、いまだに降る雪のために、杉の葉が真っ白な逢坂山であるよ。

参考

「逢坂山」は近江国の歌枕。いまの滋賀県大津市西部の山。本歌は、「梅が枝に来ゐるうぐひす春かけて鳴けどもいまだ雪は降りつつ」〈古今・春上・五〉[訳]梅の枝に来てずっととまっているうぐいすが春を待ちこがれて鳴くけれども、まだ雪が降りしきっているよ。

(『三省堂 全訳読解古語辞典 第四版』「うぐひすの…」)


◆参考情報

今回は、「逢坂山」という歌枕が出てくる歌を取り上げました。『三省堂 全訳読解古語辞典』で「逢坂山」を引くと、「山城(やましろ)・近江(おうみ)両国の境の山。いまの京都府と滋賀県との境にある。関所が設けられたことから「関山」とも呼ばれた。和歌では同音の「逢ふ」とかけて用いられることが多い。」とあります。
「鶯の…」の歌の詞書には「和歌所にて、関路鶯といふことを」とあり、逢坂山が歌題の「関路」を表していることになります。

筆者プロフィール

古語辞典編集部

編集部から

弊社では、昨年春より募集して参りました「三省堂 高校生創作和歌コンテスト」の入賞作品を、このほど発表いたしました。「歌枕部門」では、住んでいる地域・高校のある土地・生まれ故郷・旅先など、新しい歌枕を詠み込んだたくさんの歌が寄せられました。

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このたびは、多くのご応募を賜り、誠にありがとうございました。ご応募くださった高校生の皆様、そしてご高配くださいました先生方に、心よりお礼を申し上げます。