共産主義の象徴となった呼びかけや敬称の「同志」は、近年、中国では同性愛者という別の意味が生まれて広まってきた。単なる志を同じくする者という意味では使いにくくなった。「小姐(シャオジエ)」も、いかがわしい仕事に就いている人を指すようになったそうだ。
水道水は飲めない。「硬水」と印刷されたミネラルウォーターを手にする。日本では軟水が多く、これはお腹を壊す方ではないか、と疑う。仕方ないので、飲むとする。
数百名が参集した研究会の記念撮影では、カメラの台が大きい。人いきれ、熱気が伝わってくる。140から150人くらいが乗ったか。後で各自でダウンロードしてと、URLが知らされた。中国では、IT化が著しい。
最終日、中国の先生がお菓子屋さんでお土産を買って下さる。月餅はおいしそうだが、嵩張るために持ち帰れない。
中国の飛行場では、「Eチケットお客様控え」を見せるために渡すと、係の男性は返してくれなかった。そこには気付いたことのメモなど書き込まなかったはずだが、少しだけ後ろ髪を引かれる。空港のターミナルを表す「1」と「I」は、注意をするように下の方に小さくは書かれていて、少なくともそこに書き込みはしていた。この数字は確かに互いに見分けが付きにくく、間違えてしまう人もいるのだろうと心配になる。
空港内の韓国料理店には、「舎廊居」と看板が出ている。「sarangchae」という発音がハングルでも記されている。ここが中国だから、漢字表記を示したものかもしれない。
「閉」の簡体字が隷書体で記されている。むろん隷書が実用されていた漢代には、そのような字形はなかった。草書を介したいわば「なんちゃって隷書」だ。日本だけの現象ではない。書体で雰囲気を醸しだすことに一役買っている手法である。
入管も、笑顔と会話が絶えない、緊張感が薄いときに当たったようだ。
帰りの中国機は、搭乗後、膝掛けの毛布が来るのを待ってしまっていたら、早々となくなってしまうなど、「耐心」のようなものが求められた。「空中小姐」すなわちCA(スチュワーデス この小姐は別格だそうだ)たちがずっとお話をしているなど、日本とは全く違った立ち居振る舞いをしているのが印象的だった。羽田行き、ANAと共同運航便だが、日本語ができる客室乗務員は、少なくともエコノミークラスには搭乗していなかったようだ。出発が遅れに遅れ、離陸前に、機内食が配られる状況となり、仕方なく食べていると、離陸に向けて俄に動き出し、慌てて回収に入る。
機内の地図では、「日本海」が太平洋上に記されていた。ソウルは「首尓」、ホーチミン市は「胡志明市」、漢字圏を越えてバンコクも「曼谷」と、漢字で、漢字を当てて表記することによって、世界を認知するのが中国の人々なのである。
トイレには「尿布」、何だろう、おしめ、おむつのことだった。
機内で見た中国の時代劇では、旗に記された文字がゴシック体や明朝体になっていた。いずれにせよ作り物ではあるが、時代が合わず、少し興が冷める。
2時間を超える大幅な遅れのために、羽田といえども電車もモノレールも終わっており、タクシーでの帰りを余儀なくされた。深夜に着くと、数時間前まで元気だったという金魚が水が急に悪くなったのか、3匹とも変わり果てた姿になっていた。2時間早くに着いていたら、と思うと悲しさが増した。
続けて、韓国の済州島での口頭発表が待っている。