大分市のデパートで、電子マネー機能の付いた現金ポイントカードが、9月1日からスタートしました。その名は『ルッチャ!』。アルファベットによる『RUCCHA!』という表記もありますから、はて、何語でどういう意味だろうかと思いますが、実はこれ、地元大分の方言にちなんだネーミングです。
(画像はクリックで全体表示)
たくさん上がった候補の中から、大分らしさが感じられて、言いやすくて響きもいいということから、この名前に決まったということです。
大通りに面したデパートの壁にはこのカードが始まることを知らせる大きな垂れ幕が下がり、店頭の柱に貼られた5種類のその紹介ポスターには、次のようなキャッチコピーが並んでいました。
つかってチャッチャ! たまルッチャ!
たまったポイントで、買えルッチャ!
たのしいことが、はじまルッチャ!
入会カンタン、すぐたまルッチャ!
トキハもインダも、つかえルッチャ!
最後の「トキハもインダも、…」はちょっとわかりにくいでしょうが、「トキハ」はこのデパートの名前です。カタカナ表記ですからその通りに読みたくなりますが、実際には【ときわ】と発音します(高年層のアクセントは、頭高でトキワ。中年以下では、平板にトキワと言うのが一般的)。「インダ」はその系列のスーパーマーケット=「トキハインダストリー」のことです。ちょっと長いので、地元では「トキハインダ」(ときわいんだ)とか、単に「インダ」と略称で呼ばれています。
大分での一種の強調表現「~ッチャ」については、前に第253回(おおいたっ茶)を取り上げた際にも詳しく紹介しましたが、共通語の〔~だってば〕に相当します。大分方言では、引用の「と」がチに変わりますから、次のように変化します。
貯まる + と + 言えば ⇒ タマル + チ + 言ヤァ ⇒ タマルッチャ
以下、同様にして、「買えルッチャ」は〔買えるってば〕、「はじまルッチャ」は〔始まるってば 〕、「つかえルッチャ」は〔使えるってば〕というわけです。
つまり、「ルッチャ!」「RUCCHA!」は、その後半部をとったネーミングです。
このカードの名前と由来を知った地元出身のダジャレ好きの中学生・佐藤君が、「大分の方言じゃなぁ、強調してえ〔したい〕トキハ、こげな〔こんな〕ふうに言い方が規則的に変わるっちゃ!」と説明すると、転校生の学君、「そうか、このルールを覚えればそれでインダ!」と納得した様子。これでまたひとつ大分の方言について理解が進んだ学君でした。