第107回のスコットランドの方言についての補いですが、スコットランドの方言ではwikipediaも作られています。方言版wikipediaは珍しいです。つづりが標準英語と違いますから、解読にチャレンジしてみてください。
//sco.wikipedia.org/wiki/
前回はスコットランドの方言の写真は載せず、代わりにTシャツの写真を載せました。実は北アイルランドのベルファストのK教授のおみやげです。国際会議でちょっとしたジョークを交わしたのがきっかけで親しくなり、次の会で会ったときに現物をいただいたのです。そのときに、北アイルランドの方言絵はがきもいただきました。
Beefed to the oxters (slightly overweight)
と書いてあります。
Oxterというのは「わきの下」armpitで、英国北部(北イングランド、スコットランド、北アイルランド)とアイルランドで使われています。Beef は動詞で、「(牛を)太らせる」の意味から、「増強する」などの意味に変わったようです。つまり「わきの下まで肉付きがいい」というひゆ的な方言表現なのです。絵に哺乳瓶が見えますから、若いお母さんなのでしょう。( )の中の英語は「ちょっと太りすぎ」ですが、「ちょっと」どころか堂々たる体格です。
スコットランドと北アイルランドの英語は、イングランドからのちに広がったので、よく似ています。アイルランドは、20世紀はじめにイギリスから独立したのですが、北アイルランドは、イギリスに残りました。それがかつてのアイルランド紛争の原因だったのです。ことばが似ていても仲間意識は生まれないようです。
数年前にアイルランドの首都ダブリンに行ったときに、英語の方言みやげや方言表示を探したのですが、見当たりませんでした。今回インターネットで検索しても、成功しませんでした。英語はアイルランドの本来の言語ではないので、英語の方言みやげは売れないのかもしれません。