[意味]
①価格を統制するために、同じ商品に設けられた二つの価格。輸出価格と国内価格など。②テレビなどで、現金正価のほかに、実勢価格〔実際に売買する時の値引きした価格〕のあること。(新明解国語辞典第八版から)
[類義]
一物二価
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兵庫県姫路市は2026年3月1日から、国宝で世界遺産でもある姫路城の入城料について、市民と市民以外で分ける「二重価格」を導入しました。市内在住者(18歳以上)は従来どおりの1000円で、市民以外は2.5倍の2500円に引き上げられました。18歳未満は市民・市民以外とも無料。見込まれる増収分は、城の維持管理やインバウンド(訪日外国人)への対応費用に充てられるといいます。
こうした観光地の動きは姫路城に限りません。北海道では札幌市の「さっぽろテレビ塔」が1月から高校生以上の入場料金を1000円から1200円に引き上げる一方、市民に関しては800円に値下げしました。京都市では、路線バスの運賃を市民と市民以外で区分する「市民優先価格」を2027年度に始める案が検討されています。
この「二重価格」。新しい言葉ではないものの、ここ数年で使用例が増えつつあるのは間違いありません。新聞記事データベース「日経テレコン」で日本経済新聞の朝夕刊に2000年以降「二重価格」が現れた記事を検索すると、2001年以降は1桁がしばらく続いていましたが、2024年と2025年に2桁となり増加傾向になっています。2026年は3月10日現在で早くも9件となりました。
これらの記事を読んでいくと、コロナ禍前後で「二重価格」の使われ方が変わってきていることも分かります。コロナ禍前は、商品やサービスの値引き前後の価格併記に関したもので、多くは消費者を惑わす不当表示が報道されたものでした。それがコロナ禍後になると、インバウンド向けの価格を高めに設定するオーバーツーリズム対策が大半を占めています。
訪日客の増加は地域経済に恩恵をもたらすとはいうものの、混雑やマナー違反といった問題も引き起こしています。これらが「二重価格」の導入ですべて解決するわけではありませんが、ひとつの方策として各地で広がるものになるのでしょう。

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新四字熟語の「新」には、「故事が由来ではない」「新聞記事に見られる」「新しい意味を持った」という意味を込めています。







