どういう意味?
法律や倫理などの要求に「従うこと」です。
もう少し詳しく教えて
コンプライアンス(compliance)の語源は、動詞のコンプライ(comply)で「(何かに)応じる・従う・守る」を意味します。従ってコンプライアンスも「(何かに)応じること・従うこと・守ること」を意味します。日本語でこの語が用いられるのは、主にビジネスや経営の分野。その場合「企業が、法律や企業倫理を遵守(じゅんしゅ)すること」を意味します。現在マスコミでこの語が登場する場合、ほとんどがこの意味だと思って間違いありません。ちなみに医療の分野では「処方された薬剤を指示に従って服用すること」を意味します。これらのいずれも「(要求に)従うこと」を意味するわけです。
どんな時に登場する言葉?
企業倫理を話題にする際に、よく登場する言葉です。特に経営者やコンサルタント、証券業界(法律遵守が市況に影響を与えるため)、マスコミ(企業の不祥事を扱うため)などが、この言葉を用いているようです。例えば「我が社はコンプライアンス体制の確立が必要だ」「この企業は、コンプライアンスへの取り組みが見られるようになった」「コンプライアンスは経営戦略の重要な要素になった」などの言い方をします。
どんな経緯でこの語を使うように?
コンプライアンスという言葉が頻出する背景には、倫理意識の欠如を原因とする、企業の不祥事が増えている問題があるようです。例えばここ数年でも、食品の偽装表示・不正会計・不正入札・クレームの隠蔽(いんぺい)・盗聴事件など、企業倫理を問われるさまざまな問題が発生しました。その都度、企業が法律や企業倫理を遵守することの重要性、つまりコンプライアンスの重要性が指摘されたわけです。
コンプライアンスの使い方を実例で教えて!
コンプライアンス体制(の確立)
企業の中で法令遵守の仕組みづくりをする場合、それを「コンプライアンス体制(の確立)」などと呼ぶ事ができます。具体的には、コンプライアンスオフィサーと呼ばれる責任者を設け、その責任者のもとでコンプライアンスプログラムと呼ばれる仕組みを作ります。このような経営方法を「コンプライアンス経営」と呼ぶこともあります。
コンプライアンスオフィサー
社内で法令遵守のための責任者を置く場合、これをコンプライアンスオフィサー(法令遵守責任者)と呼ぶ場合があります。最高経営責任者のことを CEO(chief executive officer)と呼ぶのと同様、最高遵法責任者のことを CCO(chief compliance officer)と呼ぶ会社もあるようです。また、この責任者のもとにまとめられる組織のことをコンプライアンス委員会などと呼ぶ場合もあります。
コンプライアンスプログラム
企業の中で、法令や倫理を遵守する仕組みを作る場合、その仕組みのことをコンプライアンスプログラムと呼ぶことがあります。多くの場合三つの分野で構成され「遵守のためのガイドラインの作成」「教育・啓蒙プログラムの実施」「問題発生時の対応マニュアルの作成」などが行われるようです。
服用コンプライアンス
コンプライアンスは経営の分野だけでなく、医療の分野でも用いられる言葉です。この場合「処方された薬剤を指示に従って服用すること」をさします。これを特に「服用コンプライアンス」と表現します。
言い換えたい場合は?
コンプライアンスを単純に漢字で表す場合は、応諾(おうだく)・承諾・協力・準拠・従順・服従・遵守などの語を用いる方法があります。また「企業が法律や倫理を遵守すること」という狭義の意味を表したい場合は、「法令遵守」という訳語が一般化しているので、それを用いるのがいいでしょう。ただし実際には、法律の遵守だけではなく企業倫理の遵守も意味に含むので、「倫理法令遵守」などの表現方法も検討してみてください。
雑学・うんちく・トリビアを教えて!
医師に従わない態度 「薬を指示通りに飲まない」「治療上の注意を守らない」など、医師の指示に従わないような患者の態度のことを、ノンコンプライアンスといいます。