方言エールのまとめの2回目です。節や写真の番号は,第226回からの通し番号です。
(画像はクリックで周辺も拡大表示)
[2]方言エールの特徴:方言エールは,「1」の災害時が初の使用例ではありません。スポーツの応援や受験の激励で,横断幕や幟にして掲げる例が,時折認められます【写真5】。
東日本大震災後には,被害のあった東北地方北部から関東地方にわたる広域の各地で同時多発的に,多数出現しました。震災直後に,生存者が命をつなぐ,という切実な状況下で自然に手作りのものが出て,数ヶ月経過後から業者製品が出てきました。Tシャツの図柄【写真6】やバスの車体塗装【写真7】にもなりました。
[3]方言エールの種類と例:方言エールは,その出現や提示方法により,以下の3種類になります。
(ア)被災者など個人の手作り:当初多くは手書きでした。避難先の学校にあったマジックや模造紙または段ボールを使いました。その後,パソコンで作成したものや,業者製品,また,図案化されたものも出てきました【写真8】。
また,被災地出身者が,現生活地で出身地の方言の地域言語により提示した例もあります【写真9】。
(イ)企業やマスコミ,行政など:被災地内で被害を免れた大型商業施設を中心に,緊急閉店となっても,自主的に避難所となり,未販売の食品を避難者に分配し,または,翌日から青空営業を始め,方言エールを掲示していきました。マスコミでは,(ア)のような例を放送しつつ,自らもフリップを作成しました。また,役所でも方言エールを提示したところがあります【写真10】。
(ウ)外部からの救援/支援/激励:震災直後の自衛隊の災害派遣隊による救援【写真11】,警察やボランティアなどの支援,また,一般の慰問や職業芸能人の激励など,大勢が被災地を訪れ,派遣先の地域語による方言エールを掲示しました。これらは,被災地の住民の励ましに役立ちました。