10分でわかるカタカナ語

第5回 ソリューション

2004年12月6日

どういう意味?

問題を「解決すること」です。

もう少し詳しく教えて

ソリューション(solution)の語源は、動詞の solve で「(問題を)解決する・解答を出す」などを意味します。従って名詞形のソリューションは「解決・解明・解答」などを意味することになります。実際に日本語でこの語が登場するのは、主に情報と経営の分野。その場合「経営上の問題を、情報技術などを用いて解決していくこと」という限定的な意味になり、具体的には「専門の業者が、顧客の要望に応じてハードウエア・ソフトウエア・人員などを組み合わせてシステムを構築し、これを提供する」ような行為をさします。

どんな時に登場する言葉?

前述の通り、情報や経営の分野でよく登場する語です。とりわけベンダー(納入業者)や経営コンサルタントなどの業種が、この語をよく用いているようです。会社名では「丸紅ソリューション」「日立ビジネスソリューション」などの用例が、また雑誌名では「日経ソリューションビジネス」(日経BP社)「月刊ソリューションIT」(リックグループ)などの用例があります。

どんな経緯でこの語を使うように?

この語が多用される背景には、情報業界や経営の分野において、解決すべき問題が「複雑化」しているという事情があるようです。

情報業界における複雑化とは「システム構築の複雑さ」をさします。その昔、企業に導入されるコンピューターシステムは、特定業者の独自規格によって設計されることが多く、構築や運用などが比較的容易でした。ところがその後、標準仕様でシステムの相互接続性を高めようとする「オープンシステム」の概念が一般化。この概念が、メーカーやベンダー(納入業者)に「システム構築の複雑さ」という困難さをもたらしたのです。これがソリューション多用のひとつの背景になっています。

一方、経営分野における複雑化とは「ビジネス手法の高度化」をさします。例えば電子商取引、サプライチェーンマネジメント(コンピューターで受発注や社内業務を統合管理する経営手法)、カスタマーリレーションシップマネジメント(コンピューターで顧客の購入履歴・苦情処理などの情報を統合管理する経営手法)といった新しい経営手法が、近年数多く登場しています。このような高度かつ複雑な経営手法を実現するために、ソリューションという言葉が用いられているわけです。

ソリューションの使い方を実例で教えて!

システムソリューション

解決手段を語頭につけて○○ソリューションという熟語を作ることができます。例えばシステムソリューションと表現した場合、「システム構築によって経営上の問題を解決する」ことを意味します。もっともこの意味は、狭義のソリューションと同じとも言えます。同様の熟語には「インターネットソリューション・ITソリューション」があります。

ソリューション事業

ソリューションを行う事業のことを「ソリューション事業」と表現できます。同様の熟語に「ソリューションサービス・ソリューションサポート・ソリューションビジネス」などがあります。

ソリューションプロバイダー

ソリューション事業を行う事業者のことを「ソリューションプロバイダー」などと表現できます。ここで言うプロバイダーは“提供者”を意味します。同様の熟語には「ソリューションベンダー」などがあります。ベンダーは納入業者などの意味です。

ソリューション(型)営業

広義のソリューション(解決)を用いた熟語に「ソリューション(型)営業」があります。これは、顧客が抱える問題の解決法を提案し、それを実現するような商品やサービスを受注する営業手法をさします。

言い換えたい場合は?

広義のソリューションを漢字で言い換える場合は「解決(法)・解答(法)」などの言葉を用いる方法があります。狭義のソリューションには決まった訳語が存在しませんので、「システム構築による経営問題の解決」などの文章表現を試して下さい。

雑学・うんちく・トリビアを教えて!

食品業界では「ミールソリューション」という新しい考え方が広がっています(mealは食事の意味)。これは「食事の手間や煩わしさへの解決策を提示するマーケティング手法」を表します。例えば総菜の販売なども、ミールソリューションのひとつです

筆者プロフィール

三省堂編修所

編集部から

あなたはマスコミ報道や日常会話の中で、突然意味の分からないカタカナ語に出会い、困ってしまったことはありませんか?

「そもそもソリューションとは何なのか?」「どういう意味なのか?」「どういう時に使うのか?」「分かり易く言い換えるにはどうしたらいいか?」といった素朴な疑問は、いまさらヒトには聞けない疑問のひとつではないでしょうか?

そこでこのコーナーでは、社会での使用頻度が高いわりに意味がよく知られていないカタカナ語を選び出し、それらの意味や使い方について「10分でわかる」ようまとめてみました。このコーナーを見れば、あなたもカタカナ語が怖くなくなります。