10分でわかるカタカナ語

第14回 スキル

2005年3月30日

どういう意味?

獲得可能な「技能や能力」のことです。

もう少し詳しく教えて

スキル(skill)とは「技能や能力」のことをさします。例えば、ビジネスにおける基本技能(コミュニケーション能力・実務能力など)のことを、ビジネススキルなどと呼ぶ場合があります。また技能を高めることを、スキルアップとも言います。

ところでスキルの語には「獲得可能な技能」というニュアンスがあります。例えば、先天的な能力(背が高くて高い所のものが取れる能力)はスキルとは呼ばれにくいのですが、獲得可能な能力(ジャンプによって高い所のものが取れる能力)はスキルと呼ばれやすい傾向があります。この両者をあわせもった能力を表す場合は、アビリティー(ability)の語を用いることが可能です。

どんな時に登場する言葉?

人間の技能や能力を表現するあらゆる分野で用いられる言葉ですが、特に、人材開発の分野でよく言われるようです。例えば、ビジネスの分野では「他人と十分に意思の疎通を図ることが出来る能力」のことをコミュニケーションスキルと呼び、また最近注目を集めているコーチング(=コミュニケーションによって技能を引き出す人材開発手法)の分野では「コーチングを行う側の人の教育技能」のことをコーチングスキルと呼びます。また人材開発以外の分野でも、インターネットスキル(=インターネットを使いこなすための技能)などのような使用例があります。

どんな経緯でこの語を使うように?

教育・人材開発などの分野で、古くから用いられている言葉のようです。

スキルの使い方を実例で教えて!

スキルを上げる

技能をより高めることを表す場合、「スキルを上げる」などの表現を用いることができます。同様の表現には「スキルを高める」「スキルを磨く」「スキルアップ」などがあります。

スキルを身につける

またもともとなかった技能を獲得する場合、「スキルを身につける」「スキルを獲得する」などの表現を用いることができます。

スキルがある/ない

さらに、ある人に技能が備わっている(いない)状態を表す場合、「スキルがある(ない)」などと表現できます。

コンセプチュアルスキル

ビジネスの分野で必要とされる技能を「対人関係に関する技能」と「実務上の技能」と「これらを統合し、複雑な問題に対応する技能」の三つに分けて考える場合があります。このそれぞれをヒューマンスキル、テクニカルスキル、コンセプチュアルスキルなどと呼びます。

ソーシャルスキル/ライフスキル

人間が生きるための基本的な能力や技能のことは、ソーシャルスキルとかライフスキルなどと呼ばれます。ソーシャルスキルは対人関係に関する基本能力(挨拶・依頼・交渉・自己主張など)のことで、これを練習する認知行動療法のことをソーシャルスキルズトレーニング(SST)と呼びます。一方ライフスキルとは生きていくための幅広い能力(コミュニケーション・問題解決・目標設定・意思決定・ストレス制御など)を表し、これを子供達に教えることをライフスキル教育と呼びます。

スキルタイム

学校教育の場では、読み・書き・計算などの基礎技能を習熟するための授業時間を設ける場合があり、これをスキルタイムと呼んでいます。

言い換えたい場合は?

「技能」または「能力」のどちらかの語で言い換えることが可能です。ただし「能力」の語を用いる場合、これが先天的な力(=才能)だと誤解される可能性もありますので、これを厳密に区別して表現したい場合は注意してください。スキルは「獲得可能な技能や能力」をさす言葉です。

雑学・うんちく・トリビアを教えて!

ヒップホップのスキル ラッパーやDJなどが活躍するヒップホップ音楽の分野では、彼らアーティストの技量や力量のことを「スキル」と呼ぶ習慣があります。

筆者プロフィール

三省堂編修所

編集部から

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