関西の皆さんに、東京のしゃべり方をマネしていただきますと、語尾に「じゃん」を多用する場合が多いですね。確かに東京の方々の口からは、「そうじゃん」のような表現が聞かれます。が、この「じゃん」をよく使っているのは、神奈川県下で、これぞ神奈川弁と言うべきものです。
1950年代には、「横浜じゃん」として全県域に展開、その後、東京に伝播し、全国区になったとも考えられています。
というわけで、横浜市内に目を向けると、ありました! その名も「いいじゃんガスール石鹸」!!(株式会社イーキューブ)。
会社の方にお話を伺ってみると──
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●命名の由来は?
弊社代表が横浜生まれで、地元に根ざした商品を、と考えました。
●お客様の反応はいかがですか?
面白い名前、変な名前と、興味を持ってくださるお客様が多くいらっしゃいます。
(ガスールとは、モロッコの限られた場所でしか採取できない粘土。100%天然石鹸とも言われるほど、十分な洗浄力と保湿力をバランスよく兼ね備えています。)
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また、同社のお買い物ポイントの愛称は「いいじゃんポイント」。地元愛が徹底しています。
このほか、過去の文献(佐藤亮一監修『ポプラディア情報館 方言』ポプラ社 2007.3)にも、
「じゃん米」(横浜市内で売られている米の名前)
「いいじゃん かわさき」(JR川崎駅前の商店街の秋のイベント名)
のように、「じゃん」の活用例が紹介されています。
また、この連載の第27回、第187回にも関連記事があります。
「じゃん」の語源は、「では+ない+か」で、「では」が「じゃ」となり、「ない」が「ん」となり、「か」が落とされて成立したと考えられています。
なお、「じゃん」の発祥は、横浜ではなく、伝播の中継地と考えられています。発祥地については、山梨説(明治時代の方言集の記載が根拠)と静岡説とがあり、この2説に対し、愛知県三河地方(「三河のじゃん、だら、りん」として、これらの表現が使われることで有名)が異をとなえており、定説がありません。