辞書編集者のひとりごと

第2回 人気の第二外国語とそのおすすめの辞書・教材(ドイツ語編)

2021年4月12日

今はちょうど春の新学期シーズンということで、「春から新しい語学を始めたい」、「大学の第二外国語は何にしよう」……そんな人のために、辞書編集者が人気の第二外国語とそのおすすめの辞書・教材を4回に分けて紹介しています。第2回はドイツ語です。

ドイツはもちろん、オーストリア、スイス、リヒテンシュタイン、ルクセンブルクの各国で使われている言語です。

英語と同じ「ゲルマン語」の仲間で、英単語とドイツ語の単語はよく似通っています。たとえばお酒のビールは英語だとbeer[ビア]、ドイツ語だとBier[ビーア]。推測しやすく、単語も覚えやすいですね。

つづりと発音がほとんど一致していて、いくつかの例外をのぞけばローマ読みでOKなので、日本人には比較的発音しやすい言語です。

学習の楽しいところ

ドイツ語の響きのかっこよさはよく知られています。「ボールペン」はKugelschreiber[クーゲルシュライバー]、「黒」はSchwarz[シュヴァルツ]。ああ、むだにかっこいい。

特に音楽に関心がある方には、ベートーヴェンの第九「歓喜の歌」をドイツ語で歌えるようになるのは嬉しいですね。

他にも、長い歴史のある文学や哲学、ビールとソーセージに代表される食文化、サッカー、現代の環境政策まで、さまざまな関心をとっかかりに学べるところも魅力です。

学習の難しいところ

英語と同じようなつづりでも意味が違う語もあるので、注意が必要です。Giftは英語だと「贈り物」ですが、ドイツ語ではまわりまわって「毒」の意味になりました。

名詞には男性・女性・中性の区別があり、その名詞にくっつく冠詞や形容詞なども性に応じて形を変えます。

また、文の中でその単語が持っている役割に応じて、1格(「~は」、主語)から4格(「~を」、目的語)まで形を変えます。

動詞の変化もたくさんあります。

覚えることはそれなりに多い言語ですが、学んでいくうちにだんだん身につきます。はじめから全部覚えようとせず、継続的に学んでいくことが大切です。

辞書・教材の選び方

●初級学習辞典

ベーシッククラウン独和・和独辞典

べーシッククラウン独和・和独辞典 小型版

初めてドイツ語を学ぶ人のために工夫をこらした辞書です。

動詞の活用形から引けるようにしてあったり、名詞が冠詞つきで表示してあったり(性がわかりやすい!)。

付録の「文法解説」もわかりやすいと人気です。

初めてドイツ語辞書を使う人のために、引き方ワーク(特設ページからダウンロード)がついています。

●学習辞典

クラウン独和辞典

幅広いレベルの学習者のための、本格的な学習独和辞典です。

用例がたっぷり入っているので、語の用法・イメージをしっかり把握できます。

巻末の付録「文法小辞典」「発音解説」「正書法解説」は圧巻の充実度。

 

●ハンディな辞典

デイリーコンサイス独和・和独辞典 第2版

カバンに入れてもかさばらない、持ち運びに便利な辞書。

ポケット版でありながら、学習辞典を上回る圧倒的な収録語数を誇ります。

的確で洗練された訳語を中心に、必要な情報をシンプルに記載しています。

※装丁がおしゃれな「プレミアム版」もあります。

●単語帳

独検対応 クラウン ドイツ語単語1600

使いやすさと見やすさで大好評の、ドイツ語単語帳のトップセラー。

セクションごとに関連する単語をまとめており、覚えやすく、学習のペースをつかみやすい構成になっています。

「ドイツ語技能検定試験」の5級から3級まで、この1冊で対応できます。

筆者プロフィール

三省堂 辞書編集部

編集部から

辞書編集部のメンバーがことばについて日頃思っていることや辞書に関する Tips を「ひとりごと」として綴っていきます。ときどき大きな声で主張することもあるかもしれません。

不定期での公開です。