どういう意味?
『大辞林 第三版』には「空が清く澄みわたった秋。」とあります。
もう少し詳しく…
「爽秋」(バックナンバー9/26)にも書きましたが、「秋」には涼しさや爽やかさを表すことばがよく使われます。
いつごろに適したことば?
「清秋」は陰暦8月の異名でもあり、9~10月のすっきりとした空が広がっているころが適切です。秋雨前線でじとじとしている(バックナンバー「秋霖」のような)日はもちろん使いません(遠くの相手へ送る場合には気をつけましょう)。
使用例は?
「清秋の候」「清秋の砌(みぎり)」など
似た表現は?
「爽秋」「秋晴」などがあります。
ちなみに…
たつをさんのコラムに影響されて、ちょっとしたコーパス検索をしてみました。
「青空文庫」のトップページには「www.aozora.gr.jp 内を Google で検索」と右上にあり検索窓がついています。そこに例えば今回の「清秋」を入れてみます。……なんと「0」。「爽秋」を入れてみます……やっぱり「0」。おかしいなと思って「秋晴」を入れてみると……寺田寅彦や種田山頭火の作品が出てきます(検索結果は2007/10/5現在)。「秋晴」を「あきばれ」と読む場合も「しゅうせい」と読む場合もここでは分けられません(作品によってはふりがなが明記してあります)が、とにかくこの「秋晴」という並びではある程度の数があるということがわかります。
では「清秋」や「爽秋」は使わないことばなのかというとそれは早合点。「青空文庫 分野別リスト」にあるように、こちらは文学中心。検索したときの分野別件数を見ると全8,182作品に対して、「文学」が6,228。76%にもおよびます。文芸作品ではあまり出てこない表現であるということは言えるかもしれませんが、使用しないということにはなりません。
「検索」することが簡単に便利になった現在ですが、そこで出た結果を安易に受け取らず、「結果を読む目」が使い手に求められているとも言えます。