どういう意味?
『大辞林 第三版』では「夜が長いこと。秋が深まるにつれて夜が長く感じられること。[季語]秋。⇔日永」とあります。
もう少し詳しく…
「新涼」の「ちなみに…」に「灯火親しむべし」という表現について書きました。「涼しくなり、夜も長く感じられるようになった。このすごしやすい秋に灯火の下で読書を」という意味でしたね。
いつごろに適したことば?
『ホトトギス新歳時記 改訂版』では9月の季語になっています。9月ごろから11月ごろまで使われる表現です。実際には、冬至(今年は12月12日)まで徐々に夜が長くなっていくのですが、そのころにはあまり使われないようです。
使用例は?
「夜長の候」「夜長の折」「夜長の砌(みぎり)」「夜長の折から」「夜長のころとなり」など
似た表現は?
「長夜」と書いて、「ちょうや」「ながよ」とも読みます。
ちなみに…
「長き夜」といえば
『全訳読解古語辞典 第三版』で「ながきよ」をひいてみましょう。
ながき‐よ【長き夜】
《「ながよ(長夜)」とも》秋の長い夜。(季語‐秋)
[例]「 ― をひとりあかし、遠き雲井(くもゐ)を思ひやり」〈徒然・一三七〉
[訳](恋人の来るのを待って)秋の長い夜をひとりきりで朝まで過ごし、遠くに隔たったところに思いをはせたりして。
[関連語]夏の「みぢかよ(短夜)」が終わって秋になると、夜の長さが感じられるので、客観的な夜の長さは冬のほうが長くても、「長き夜」「長夜」といえば秋の夜のことである。一方、「ひなが(日永・日長)」は、春の昼の暮れにくいことをいう。
歌に詠まれるように、急に長くなった夜に少しさびしく思い、物思いに耽ってしまうのが秋の夜長なのですね。