初めての土佐で、調べたいことがあった。高知では、「たまご」を「玉子」とは書かない、いつも「卵」と書くという話を聞いてから、何人もの高知出身者たちへの聞き取り、NHK番組からの取材、NHK文研の方の全国調査の結果の閲覧を経て、実地でこの目で確認しようと思っていた。
「玉子焼き」が、高知ではベビーカステラを指すために、衝突を回避して「卵焼き」となる、それが拡張したものというのが現在のところ、考えうることだ。あるいは、長尾鶏では、「鶏卵」となることが多く、「卵」と関連する、などということもありうるのだろうか。
市内も大雨だった。一番ひどいときにバスを下車、日頃の行いだろうか。でも、雨男なんていうのがいたら、旱魃地帯にでも行って役立ちそうなものだと思う。折りたたみ傘のほうが軽くて調査に障らないのだが(晴れたら畳めば荷物にならず、かつ帰りは送れば良い。ただそれも面倒)、便利な予報のために、大きめの傘を持たされた。それでもビショビショになってきて、看板や貼り紙などの写真も撮りにくい。
構内に入れば、食いっぱぐれる恐れが出てきた。一食抜くと、学生の頃からもうフラフラでダメになる。学生街らしきものがなく、店も休みで、歩いてスーパーのeveエヴィ朝倉店を見つける。298円で弁当が売っていた、安い。
後で、「生協がやっていたよ」とあっさり教えられる。翌日、その食堂を見に行くが、掲示してあったメニューには、残念、玉子も卵もなかった。
コンビニエンスストアーで探してみると、「玉子」とあり、あっさりと覆された。おでんでは「たまご」とある。全国チェーンだからだろうか。
同じスーパーに行って、「たまご」の表記を観察調査してみる。
玉子
厚焼卵
やっと「卵」があった。御礼にお茶を買った。このスーパーでは「すし9貫」と、ついでに「すし」も目に入った。関東では一般的な「鮨」がここでは本当に少ない。江戸前と鮨の結びつきは、江戸時代から確かめられる。
店先では、
だしまき卵
卵巻き
出汁巻卵(写真参照)
と、見つかりだした。
ただ、すべてが「卵」というわけではなく、「玉子」も意外と随所に流通している。見いだせた、他県と異なる実勢としては、やはり「たまご焼き」の類の加工食品となると「卵」が現れやすいというところだろうか。そうすると、やはり当地でお菓子のようなベビーカステラを指す「玉子焼き」のせいとなりそうである。以前、NHK番組の制作(製作)担当者といっしょに、山内氏に何か関わりがあるのでは、と調べてみたものの何も出ては来なかった。