中国のテレビでは、ハートマークのようなものを、子どもたちが「愛!」「心!」と呼ぶシーンがあった。マークに読みを与えているのだとすると、こちらでは珍しい。
爽歪歪
飲料の商品名で、台湾の人も知っていた。爽やかと歪曲、ゆがむ、ひずむとは矛盾するし、後ろの2字は商品イメージとしてはどうかと感じるが、例によってwai1(ワイ)という音だけを表すようだ。日本人が発するワーイという歓声ではない、とのことだ。
中国の人たちに聞くと、「不正」からなるこの会意文字を含む商品名について、よく知ってはいるが、語源について考えたことはなかったという。その語義に関するイメージは、さまざまな現象に対する意見と同様に、多様であった。おいしくて嬉しいために、
口が歪むから、
自然に体が傾くから、
体が左右に揺れるから、
といった声が出た。正常以上を表現するものという院生もいた。いずれにせよ表音的な用法がもとなのであろう。
元素の名は、テレビの報道、CM、そして街中や薬局の包装で、色々なものを目にした。
ビスマスのことである。これは、中国でも習った覚えがないという人が多い。
bo2(ボー)、プラチナを指す。中国の人たちは、Ptという元素記号と一緒に覚えているがプラチナという語形はあまり知らない。テレビ番組で、「(金+白)礦」が南非(南アフリカ)の鉱物資源の話題の中で出てきた。
亜鉛。
「gai4」(ガイ)と読む。「カルシウム」という英語の語形は知らない留学生もいた。これは、よく子供向けの菓子の包装に印刷されている。
このアルミニウムは看板でもよく見る。「ア」ではなく「ル」に「呂」を音で当てたもので、ベトナムでも看板にこの字を見かけた。
「nie4」(ニエ)、ニッケルを指す。「電解(金+自下に木)」と簡体字で記されていた。
ヨウ(沃)素は石偏になる。
アンモニア、気体であることも分かる。
ほかにも、「乙(火+希)」(二字目はxi1(シー) 有機化合物のアルケン)のような漢字も見られる。商品においては、化学用語の専門用字は、購買層に説得力、そして訴求力が出るのだろう。こうした簡体字になったいくつもの元素や化合物の表記については、教え子が今、出自と来歴を追っている。
これは薬の名だった。
テレビでは、下水から油をすくい上げて、食用油に再利用するという行為を追いかけ、それを取り締まるという内容の番組が放送されていた。日本でも行われている水のリサイクルとは、何かが決定的に違う。