日々英語を教えていると、多くの生徒さんが共通して間違える単語がいくつかあることに気づきます。実はsurpriseもそのひとつ。なぜ多くの人がsurpriseの使い方を間違えてしまうのか、いっしょに考えてみたいと思います。
surprise=「サプライズ」=「驚く」?
あなたは、「サプライズ」=「驚く」「びっくりする」だと思っていませんか? もしそうだとしたら、まずはその認識が間違っているといわなければなりません。日本人の生徒さんを教えていると、
サプライズ=驚く=surprise
という認識をしている人がとても多いですが、これは残念ながら、間違っていると言わざるをえません。あなたはどこが間違っているかわかりますか?
まず、日本語のサプライズは、基本的に名詞です。「サプライズパーティー」とか「サプライズゲスト」といった形で使われるほかは、
今回の人事に大きなサプライズはなかった。
のように、名詞としての用法が主だといってよいでしょう。ですから、日本語のサプライズは、「驚く」「びっくりする」という動詞ではなく、「驚き」という名詞の意味しかない、と考えるべきです。
この名詞の用法を英語でいうときは、そのままsurpriseを使ってもだいじょうぶです。英語のsurpriseには、名詞の用法と動詞の用法が、両方あります。でも、動詞として使うときには、注意が必要です。
「驚く」= surprise ?
結論からいうと、「驚く」という動詞を、surpriseという動詞であらわすことは、できません。ここを間違って覚えている方が、とても多いようです。
surpriseは動詞として使うことができますが、「驚く」ではありません。surpriseは、「驚く」という自動詞ではなく、「(人を)驚かせる」という他動詞なのです。この2つは同じようなものだと感じる方もいるかもしれませんが、英語を話そうとするとき、自動詞か他動詞かの違いは、しっかりと認識する必要があります。
surpriseは他動詞なので、
The news surprised me. (そのニュースは私を驚かせた。)
というように、「何かが」「誰かを」驚かす、という形で使うのが基本です。
では、「自分が」驚いた、びっくりした、と、自分を主語にして言いたい場合はどうしたらよいでしょうか。この場合は、受け身にして
I’m surprised! (びっくりした!)
のようにいうことができます。直訳すると、「私は驚かされている」ですね。日本語の日常会話で「私は驚かされる」という言い方をすることはないので、慣れるまではへんな感じがするかもしれません。でも、英語で「(自分が)驚いた」と自分を主語にしていうときは、be surprisedと受け身にするのがふつうです。(注1)
実は、I am tired.もこれと同じ仕組みなんですよ。多くのみなさんは、「I am tired. = 私は疲れている」と覚えているのではないでしょうか。これも実は、tireが「(人を)疲れさせる」という他動詞なので、I am tired.は、厳密にいえば、「私は疲れさせられている」という意味なのです。でも、これをふつうの日本語でいうなら「私は疲れている」ですよね。だから、tiredそのものは「疲れさせられている」という意味ですが、「疲れている」という訳語が定着しているのです。
surprise(驚かせる)やtire(疲れさせる)のように、日本語では自動詞が自然(「驚く」や「疲れる」)なところが英語では他動詞になっている、というものは、他にもたくさんあります。次回はこの点について、もう少しだけ詳しく解説してみたいと思います。
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実は、日本語の「た」は過去だけではなく、完了をあらわすという側面もあります。〈「た」=常に「過去」〉ではありませんので、この点に気をつけてみてくださいね。