(菊武学園タイプライター博物館(12)からつづく)
菊武学園タイプライター博物館には、「Hammond No.1」がもう1台、展示されています。オリジナルの「Hammond No.1」とほぼ同一の機構ですが、タイプ・シャトルを収めた円筒やペーパー・ホルダーが金属製になっていて、動作の様子を外から見ることができるのです。中央の円筒内部に2枚のタイプ・シャトルが組み込まれている点は同様で、各々のタイプ・シャトルには15行×3列=45字の活字が埋め込まれています。菊武学園の「Hammond No.1」(remodeled)のタイプ・シャトルでは、上の列には英小文字と?,.:が、真ん中の列には英大文字と!;-&が、下の列には数字とその他の記号が、それぞれ埋め込まれています。
菊武学園の「Hammond No.1」(remodeled)のキー配列は、左上段がzqjbpfd、左下段が?xkgmcl,、右上段がthrsuwv、右下段が.aeiony:と並んでいます。各キーを押すと、対応するタイプ・シャトルが紙の方へと回転移動し、紙の背面からハンマーが打ち込まれることで、紙の前面に印字がおこなわれます。中央の「CAP.」キーを押すと、タイプ・シャトルが少し上がって、真ん中の列の活字(英大文字など)が印字されるようになります。「FIG.」キーを押すと、タイプ・シャトルがさらに上がって、下の列の活字(数字とその他の記号)が印字されるようになります。これにより、90種類の文字を打ち分けることができるのです。
一部のキーには、記号が追加されています。たとえば、Bのキーには「1/8」に加えて「+」が刻印されていますし、Jには「3/8」に加えて「×」が、Qには「5/8」に加えて「÷」が、!には「3/4」に加えて「=」が、Xには「7/8」に加えて「@」が、Kには「1/2」に加えて「#」が、それぞれ刻印されています。これら「+」「×」「÷」「=」「@」「#」は、エキストラ・タイプ・シャトルの下の列に埋め込まれている活字です。通常のタイプ・シャトルでは、「FIG.」キーで分数が印字されるのですが、エキストラ・タイプ・シャトルに交換すると、「+」「×」「÷」「=」「@」「#」が印字されるのです。右端のキーにも、同じように記号が追加されていて、左右のタイプ・シャトルをそれぞれ独立に交換することで、これらの追加文字も印字できるのです。