どういう意味?
『大辞林 第三版』には「雑節の一。立春から数えて210日目にあたる日。9月1日頃。晩稲(おくて)の開花期にあたり、特に農家では台風などの災害に備える。[季語]秋。」とあります。
もう少し詳しく…
「源氏物語」の第二八帖は「野分」という巻名がついています。「枕草子」にも「野分のまたの日こそ」という段があります。この「野分」がまさしくこのころ吹く風のこと。
『大辞林』には「〔野の草を吹き分ける風、の意〕①二百十日、二百二十日前後に吹く暴風。台風。あるいはその余波の風。また、秋から初冬にかけて吹く強い風。のわけ。のわきのかぜ。[季語]秋。《吹飛ばす石は浅間の ─ かな / 芭蕉 》」とあります。古い書物にも出ていることから、昔からこの風の強さは人々の生活に影響があったことがわかります。
農家ではこの時期に大風がくると大変な損害になります。せっかく丁寧に育てた稲が実をつけなかったり、倒れてしまったりして収穫が減ってしまいます。この二百十日と二百二十日(9月11日ごろ)、八朔(旧暦8月1日を言い、今年は八朔も9月11日になります)は昔から強い風の吹く日だったようで、「農家の三大厄日」と言っている人もあるようです。
いろいろな地域で、「この風の難を受けないように」「豊作でありますように」と祈られ、「風鎮祭」「風祭」といった名前のお祭りや、奉納祭があります。
時候のあいさつに使うなら…
「二百十日も無事に過ぎ…」のように手紙の書き出しにも使えます。
ちなみに…
雑節とは
『大辞林』では「暦で、二十四節気以外の季節の移り変わりの目安となる日の総称。節分・八十八夜・入梅・半夏生(はんげしよう)・二百十日・土用・彼岸(ひがん)など。」とあります。
二百十日のころのお祭り
富山県富山市八尾町「おわら風の盆」が有名です。今年は8/20~30の間に前夜祭が行われ、9/1~3には町流しがあります。
ほかに… ●山形県朝日町「大谷風神祭」 ●新潟県弥彦村・弥彦神社「風鎮祭」 ●新潟県加茂市・青海神社「秋季大祭」 ●新潟県糸魚川市・日吉神社「秋の大祭」 ●石川県加賀市・山代温泉「八朔祭り」 ●山梨県都留市「八朔祭り大名行列・屋台巡行」 ●奈良県天理市・大和神社「風鎮祭」 ●京都府京都市左京区・八大神社「八朔祭」 ●島根県益田市・柿本神社「八朔祭・流鏑馬神事」 ●熊本県山都町「八朔祭」 ○千葉県山武市・金刀比羅神社「鎮風祭」(8月第1日曜日) ○奈良県斑鳩町・龍田神社「風鎮大祭」(7月第1日曜日) ……など