どういう意味?
『全訳漢辞海 第二版』によると、「初秋のころの涼やかさ」とあります。
もう少し詳しく…
『ホトトギス新歳時記 改訂版』には8月の季語として「新涼」が載っています。そして「秋はじめて催す涼しさをいう。夏の暑さの中の一時的な涼しさと違って、よみがえるような新鮮な感触がある。秋涼し。秋涼。」との記述があります。
いつごろに適したことば?
「新涼」は8月下旬から9月上旬がふさわしいでしょう。なぜなら「処暑」(バックナンバー8/22)は「暑さがやみ、新涼が間近である日」のことですから、処暑(8/23)以降、「初秋」(バックナンバー8/24)の間となるわけです。
使用例は?
「新涼の候」「新涼の折」「新涼の砌(みぎり)」「新涼の折から」など
似た表現は?
「涼」の付く語はたくさんあります。たとえば「三省堂デュアル・ディクショナリー」のWeb版『大辞林 第三版』で検索文字を「涼」とし、検索条件を後方一致にして検索すると(*)、「秋涼」「初涼」「清涼(せいりょう)」「爽涼」などが出てきます。
ちなみに…
『漢辞海』には出典として韓愈(かんゆ)の詩「符読書城南〔符 書(しょ)を城南(じょうなん)に読む〕」が挙げられています。「灯火親しむべし」という表現はご存じでしょうか。「今週のことわざ」のもとになっている『中国故事成語辞典』を見ると、秋はともしびの下で読書をするのに最適だという意味だとあります。このことばの前に「時秋積雨霽、新涼入郊墟。灯火稍可親、簡編可巻舒」というふうに「新涼」があります。これは「長い雨の季節は終わり、秋になってさわやかな気候になってきたし、ともしびの下で読書を」と息子の符に勉強をすすめたことばです。
(*)「三省堂デュアル・ディクショナリー」のWeb版を使用するには対象辞書(ここでは『大辞林 第三版』)を御購入の上、登録手続きが必要です。