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第31回 【継続試合】けいぞくじあい

筆者:
2022年3月28日

[意味]

野球の試合が途中で雨などにより続行不可能になった場合、後日その場面から再開すること。

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甲子園球場で春の選抜高校野球大会が開催されています。日本高校野球連盟は、今大会から雨などで試合が中断した場合に翌日以降に続きを行う「継続試合」を導入しました。これはゲリラ豪雨など近年の気象の変化を踏まえ、選手の負担軽減や安全なプレー環境を確保するための措置です。

きっかけは、2021年夏の全国選手権大会で激しい降雨によるノーゲームが2度、コールドゲームが1試合あったことです。ノーゲームは試合が成立する七回終了前に打ち切られた試合のことで、後日あらためて初回から試合が行われていました。本塁打などの記録が幻となり消滅する一方、投手の「1週間で500球以内」の投球制限に投球数がカウントされるため、不公平であるとの指摘もありました。コールドも継続試合の対象になり、全出場校が九回まで戦える機会が保証されたのは、規則の改善であるといえます。

さて、高校野球で「継続試合」が話題になったのは、昨夏や今春の大会だけではありません。新聞記事を調べていくと、2014年にも大きく取り上げられたことが分かります。

2014年8月、兵庫県の明石トーカロ球場で行われた全国高校軟式野球選手権大会。準決勝の中京(岐阜県)と崇徳(広島県)の試合は4日間にわたる延長五十回の熱戦となりました。1日目は延長十五回で0-0。十六回から始まった2日目も三十回まで両チーム無得点。3日目も双方譲らず0-0のまま四十五回まで戦いました。4日目の延長五十回表、中京が3点を奪い勝利。4日間10時間18分の激戦が終わりました。硬式ならば十五回で引き分ければ再試合になりましたが、軟式は得点が入りにくいとのことから当時は継続試合となっていて、それが4日も続いたわけです。硬式に比べ話題に上ることの少ない軟式でしたが、このときは新聞やテレビでも大きく報道され、注目されました。

現在、高校野球では十三回以降、無死一、二塁から攻撃を始めるタイブレーク制度が導入され、試合の早期決着が図られています。

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新四字熟語の「新」には、「故事が由来ではない」「新聞記事に見られる」「新しい意味を持った」という意味を込めています。

筆者プロフィール

小林 肇 ( こばやし・はじめ)

日本経済新聞社 用語幹事・専修大学協力講座講師。1990年、日本経済新聞社に入社。日経電子版コラム「ことばオンライン」、日経ビジネススクール オンライン講座「ビジネス文章力養成講座」などを担当。著書に『マスコミ用語担当者がつくった 使える! 用字用語辞典』(共著、三省堂)、『謎だらけの日本語』『日本語ふしぎ探検』(共著、日経プレミアシリーズ)、『文章と文体』(共著、朝倉書店)、『日本語大事典』(項目執筆、朝倉書店)、『大辞林 第四版』(編集協力、三省堂)などがある。日本漢字能力検定協会ウェブサイト『漢字カフェ』で、コラム「新聞漢字あれこれ」を連載中。

編集部から

四字熟語と言えば、故事ことわざや格言の類で、日本語の中でも特別の存在感があります。ところが、それらの伝統的な四字熟語とは違って、気づかない四字熟語が盛んに使われています。本コラムでは、日々、新聞のことばを観察し続けている日本経済新聞社用語幹事で、『大辞林第四版』編集協力者の小林肇さんが、それらの四字熟語、いわば「新四字熟語」をつまみ上げ、解説してくれます。どうぞ、新四字熟語の世界をお楽しみください。

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