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第30回 【点検商法】てんけんしょうほう

筆者:
2022年2月28日

[意味]

家の点検を装って不要な工事や物品購入の契約を結ばせる悪質商法。高齢者宅を狙い「シロアリがわく」などと言って不安をあおり、契約を結ぶ事例がある。

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日本経済新聞での「点検商法」の初出例は、新聞記事データベース「日経テレコン」によると、1994年8月29日付夕刊の「シロアリ駆除で苦情急増 契約前によく確認を」の記事でした。業者が「無料点検をします」と訪れ、「シロアリがいる」「すぐに対処しないと大変」などと言って契約させるという内容です。28年も前の記事ですが、この商法の手口は現在とあまり変わっていません。

「点検商法」の出現記事件数はそれほど多くはありませんが、2000年代に入り少しずつ見え始め、00年代半ばごろの増加が特に目立ちます。これは04~05年に点検商法が社会問題化した時期であり、06年に特定商取引等に係る事犯の検挙事件数がピークになったといわれる時と重なります。当時の記事では、高齢者宅を狙った不必要なリフォーム工事を行う詐欺が取り上げられていました。点検を装い不安をあおって高額な契約を結ばせる事例は後を絶ちません。

警視庁のホームページでは、点検商法への注意喚起で「法律で義務づけられていますから」「無料で点検します」「点検にきた」「モーター故障でこのままだと…になる」「シロアリがいるから……」の5つを要注意なことばとして挙げています。他人の言うことをいちいち疑わなければならないというのは嫌なことではありますが、被害が続くとなれば疑うのも仕方がないところではあります。

 

「【【点検商法】てんけんしょうほうの登場記事件数
*日本経済新聞の記事を調査。

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新四字熟語の「新」には、「故事が由来ではない」「新聞記事に見られる」「新しい意味を持った」という意味を込めています。

筆者プロフィール

小林 肇 ( こばやし・はじめ)

日本経済新聞社 用語幹事・専修大学協力講座講師。1990年、日本経済新聞社に入社。日経電子版コラム「ことばオンライン」、日経ビジネススクール オンライン講座「ビジネス文章力養成講座」などを担当。著書に『マスコミ用語担当者がつくった 使える! 用字用語辞典』(共著、三省堂)、『謎だらけの日本語』『日本語ふしぎ探検』(共著、日経プレミアシリーズ)、『文章と文体』(共著、朝倉書店)、『日本語大事典』(項目執筆、朝倉書店)、『大辞林 第四版』(編集協力、三省堂)などがある。日本漢字能力検定協会ウェブサイト『漢字カフェ』で、コラム「新聞漢字あれこれ」を連載中。

編集部から

四字熟語と言えば、故事ことわざや格言の類で、日本語の中でも特別の存在感があります。ところが、それらの伝統的な四字熟語とは違って、気づかない四字熟語が盛んに使われています。本コラムでは、日々、新聞のことばを観察し続けている日本経済新聞社用語幹事で、『大辞林第四版』編集協力者の小林肇さんが、それらの四字熟語、いわば「新四字熟語」をつまみ上げ、解説してくれます。どうぞ、新四字熟語の世界をお楽しみください。

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