[意味]
他の人に不利益を与えたり、不快に思わせたりする行為。
*
新聞にはいろいろな迷惑行為が登場します。今年の上半期(1~6月)の新聞記事を見ると、突出して多いのが回転ずしチェーン店などの飲食店で起きたものでした。
レーン上に回るすしや湯飲み、卓上に置かれたしょうゆの注ぎ口に唾液をつけるなどした行為を映した動画を、客がSNSに投稿し拡散されるケースです。飲食業経営を主な事業とする企業を対象にした「第49回日本の飲食業調査」(6月発表)によれば、迷惑行為に遭った企業は28.9%にのぼり、特にファストフード店では半数以上が経験しているといいます。
ビジネスデータベースサービス、日経テレコンを使い「迷惑行為」が1990年以降の日本経済新聞朝夕刊でどのくらいの記事に出現しているか見てみました。1990年代はほぼ1桁で推移していたものが、1999年以降は2003年を除き2桁が続き増加傾向です。2023年は半年で29件にもなりました。
1990年代の記事を見て多かったのがダフ屋行為。プロ野球やサッカー、人気歌手・アイドルグループのコンサートなどのチケットを会場周辺で定価よりも高く販売し、逮捕されるもの。ほかに鉄道車内での痴漢、盗撮、航空機内で客室乗務員に対する暴言……。ストーカーも1999年の記事で見られました。
2000年代に入ってからは、これらの行為のほか、歩行喫煙(路上喫煙)、ゴミのポイ捨て、犬のフンの放置といったマナー違反などが取り上げられています。インターネット上の迷惑行為もこの頃から見え始めました。
グラフには2つの山があります。2013年は、関西のテーマパークでアトラクションを中断させる行為を繰り返した事件が発生。迷惑行為をSNSに投稿した大学生らが略式起訴されました。2018年は客からの暴言・暴力といった、今で言う「カスタマーハラスメント(カスハラ)」が取り上げられています。
繰り返される迷惑行為。今年に入ってからは、被害企業が損害賠償請求する訴訟を起こすといった動きも出てきました。迷惑行為は周囲を不快にさせるだけでなく、自らにも不利益をもたらすものであることを肝に銘じなければなりません。
* * *
新四字熟語の「新」には、「故事が由来ではない」「新聞記事に見られる」「新しい意味を持った」という意味を込めています。