『三省堂国語辞典 第六版』が出版されて以来、多くの人から読者カードが寄せられています。中には、初めて使う国語辞書として『三国』を選んだという小学生や中学生の人たちのコメントも多く、読んでいてうれしい気持ちになります。
『三国』は、小学校高学年から高校・大学に至るまで、若い人たちにも使いやすい辞書だと、私たちは自負しています。結婚できる年齢を「結婚年齢」と言うのにならって言えば、『三国』が使える「三国年齢」は、ほかの辞書の場合より若いのです。そして、学校を卒業してからも、引き続き『三国』が使えることは言うまでもありません。
『三国』は、はば広い読者層を想定しており、だれもが毎日の生活の中で使える辞書です。若い読者のためにも、特にいくつかの工夫をしています。
まず、説明の文章は、できるだけ小学校の漢字だけでまかない、それ以外の漢字には読みがなをつけています。言い回しも、だれが読んでも分かるようにやさしく書いてあります。むずかしい言い方では説明したことにならないというのが、『三国』の考え方です。
たとえば、「桜」では、ほかの辞書なら花の色を「淡紅色」と書くところですが、『三国』では「うすくれない」としています。耳で聞いても分かりやすいでしょう。
また、中学生の人にとっては、☆☆印のついた「学習重要語」が役に立つはずです。これは、中学生のうちに覚えておくといいことばです。具体的には、文章だけでなく会話でもよく使う、ちょっと知的なことばが選ばれています。
たとえば、私自身は中学生のころ、「常套(じょうとう)手段」ということばを覚えて、なんだか大人になったような気持ちがしました。『三国』では、この「常套」にも☆☆印をつけてあります。
高校・大学生になれば、〔文〕(文章語)や〔俗〕(俗語)、〔雅〕(雅語)などの表示が役に立つでしょう。レポート・論文にふさわしいことばを選ぶことができ、また、和歌や俳句を作る時の助けにもなります。
『三国』は、小・中・高・大学、あるいは社会人というふうに、それぞれの年齢の読者にふさわしい使い方をしてもらえるよう、気配りをしています。新しい年度に際して、新しい国語辞書を使ってみようと思っている若い人たちにもおすすめします。