1931年11月21日、AT&TはTWX (TeletypeWriter eXchange) というサービスを開始しました。TWXは、電話局のプラグボードや交換機を介して、遠隔タイプライターどうしを接続するサービスで、これにより、どの遠隔タイプライターも互いに通信可能となります。このTWXに合わせて、テレタイプ社が発売したのが「Teletype Model 15」です。「Teletype Model 15」は、フロントストライク式の遠隔タイプライターで、2台をTWXで繋ぐと、片方で打った文字がもう片方にも印字される、というものです。
「Teletype Model 15」の印字機構は、26本の活字棒(type arm)によるフロントストライク式で、各活字棒の先には2つずつ活字が埋め込まれています。シフト機構は、いわゆるロッキング・シフトで、キーボード左下の「FIGS」キーを押すと、それ以降はずっと記号・数字が印字されます。キーボード右下の「LTRS」キーを押すと、それ以降はずっと大文字が印字されます。小文字はありません。「LTRS」キーの右横には「LINE FEED」キーがあって、改行(紙を1行分進める)をおこないます。「LINE FEED」キーの右上には「CAR RET」キーがあって、プラテンを行頭に戻します。動作は全て電動で、TWXで繋がれた2台の「Teletype Model 15」が、同時に動作します。
「Teletype Model 15」のキーボードは、いわゆるQWERTY配列です。キーボードの上段は、大文字側にQWERTYUIOPが、記号側に1234567890が並んでいます。キーボードの中段は、大文字側にASDFGHJKLが、記号側は「A」のキーに「-」が、「S」のキーに「BELL」(ベルを鳴らす)が、「D」のキーに「$」が、「F」のキーに「¼」が、「G」のキーに「&」が、「H」のキーに「STOP」(通信終了)が、「J」のキーに「'」が、「K」のキーに「½」が、「L」のキーに「¾」が並んでいて、右端に「CAR RET」キーがあります。キーボードの下段は、左端に「FIGS」キーがあって、大文字側にZXCVBNMが、記号側に"/⅛⅜⅝⅞.が並んでいて、右端に「LTRS」「LINE FEED」キーがあります。
下の広告は、アメリカン航空とのタイアップで、ニューアーク空港18:10発(EDT東部夏時間)→ロサンゼルス(Glendale Grand Central)空港07:50着(PST太平洋標準時)の「DST (Douglas Sleeper Transport) Mercury」を、ボストン空港で当日14:20(EDT)に予約するという離れ技に挑戦しています。「Teletype Model 15」とTWXがあれば、こういう離れ技も可能だという広告なのですが、当時、人気だったはずの寝台夜行フライト「DST Mercury」は、本当に当日予約が可能だったのでしょうか。