-語法記述編: (U)名詞とa(n)-
今ではほとんどの学習英和辞典に可算名詞を表す(C)と不可算名詞を表す(U)という記号が表示されるようになっている。もっとも,可算名詞〔以降,(C)名詞〕と不可算名詞〔以降,(U)名詞〕の区別は一筋縄ではいかない。すべての名詞が(C)名詞と(U)名詞のどちらか一方に分類されるわけではなく,むしろ両者の性質を合わせもつ場合が多い。名詞によって(C)の性質の強い名詞や(U)の性質の強い名詞があるわけである。(a) 典型的な(C)名詞であるbirdやkey,(b) 典型的な(U)名詞であるinformationやevidenceは一度覚えてしまえば問題は少ないが,その中間段階にある(C)名詞と(U)名詞の両性質をもつ名詞の場合は,その振る舞いをよく理解しておかないと適切に使いこなすことは難しい。中間段階にある用法の概略を示してみると,以下のとおりである。
- (c) 通常は(U)名詞であるが容器を意識すると(C)名詞扱いとなるcoffee, sugarなど。
- (d) 通常は(U)名詞で種類を表す場合は複数形になりうるfood, fruitなど。
- (e) 通常は(U)名詞で具体例では不定冠詞aを伴ったり複数形で用いられ,one, twoなどの数詞とは用いられないもののmanyとは共起するillness, kindnessなど。
- (f) 通常は(U)名詞であるが,具体例では不定冠詞 a を伴い,その際しばしば修飾語を伴って用いられるknowledge, educationなど。
これらを以下のように可算・不可算のスケール上に表示すると,その段階性を理解しやすくなる。
不可算 ←――――――――――――――→ 可算
(b) (f) (e) (d) (c) (a)
こういった(C)と(U)の性質を理解することは英語の名詞や冠詞を使いこなす上で不可欠となるので,『ウィズダム英和辞典』では,特に英語を発信する際に必要となる上位ランク語では,日本人英語学習者が誤りやすい項目で十二分に情報を示した。行数に限りのある下位ランク語で(C)と(U)の性質を合わせもつ名詞の場合,(C)の性質が強いものは(C)(U)という記号順で表示し,(U)の性質の方が強いものは(U)(C)という記号順で表示してある。また,不定冠詞aと(U)名詞との関係は,見出し語 a の語義7 (p. 2)に概略を説明してあるので,是非ご利用いただきたい。
さて,上に述べたような(C)と(U)の性質を合わせもつ単語にinterestがある。『ウィズダム英和辞典』の(名)1を見ると〔このページの末尾を参照〕,「(C)(U)[単数形で]」とあり,(C)と(U)の性質を合わせもつものの,(C)の性質の方が若干勝ることを示している。さらに,「([!]不定冠詞のほか, しばしば強意や量を表す(形)を伴う)」という注記が与えられ,(C)の性質があるものの(U)の性質も拮抗していることをうかがわせる。不定冠詞と形容詞を伴う第1用例「have an [a strong, a keen] interest in baseball 野球に[にすごく]興味がある」,不定冠詞を伴う第2用例「begin to take an interest in politics 政治に興味を持ち始める」,数量詞を伴う第3用例「have no [have little, not have much] interest in A Aに全然[ほとんど, あまり]興味がない」は以上の説明を具現化しているものといえる。さらに,(コーパスの窓)では,greatやconsiderableなど程度を表す(形)とともに用いられる場合は(U)名詞化が進み常に無冠詞だが, それ以外の(形)を伴う場合, 後にin句を伴うとより具体的な性質を表し(C)の性質が強くなり通例不定冠詞を伴うことにふれてある。