−略式連語表記: 「すべて」を表す語−
単語はすべて知っているものばかりなのに,文全体の意味がどうもわからないということを経験することがある。下に挙げる文は,学期の始めに私が授業で取りあげるもののひとつである。
My grandfather remembers everything from the movie he saw last week to where he put his glasses.
学生の多くは,知っている単語ばかりなのに,文全体の意味がとれないことに歯がゆい思いをする。そこで,特定の単語と相性のよい単語があること,もちろんその相性には意味が大きく関わっていることを話す。everythingで「あらゆること」を表し,その後に続くfrom . . . to . . . がその範囲を明示していることにふれ,以下のようなKWIC(Key Word in Context)表示を示す。
このような機能語との連語関係を示す文法的連語〔grammatical collocation〕に関しては,『ウィズダム英和辞典』では略式連語表記と称して〔→p. viii,「本書の使い方」(6.5)〕,語義とともに記述している。従来の辞書でも動詞や形容詞についてはかなり詳細な記述が行われるようになっているが,『ウィズダム英和辞典』(第2版)では,それ以外の品詞の語に関しても,コーパスを分析してできる限りこのような情報を与えておいた。 everythingの場合,「《…から…まで/…についての》すべての事[物]; ありえるすべての事; あらゆる状況, 万事《from . . . to . . . /about》」といった具合である。
なお,from . . . to . . . を従える特徴は,all,every〔everythingなどを含む〕,any〔anythingなどを含む〕など,他の「すべて」を表す語にも見られる。